不正競争防止法
2026/04/25

競合他社の虚偽表示・誇大広告に対抗できる?不正競争防止法「営業毀損」の活用法

「競合が自社製品について根拠のない欠陥情報をSNSに流している」「競合他社が自社商品より優れているという虚偽の比較広告を出している」「取引先に事実無根の悪評を吹き込まれた」——このような被害を受けた企業からの相談が増えています。

こうした行為は、不正競争防止法の「虚偽事実の告知・流布」(2条1項21号)に該当し、差止請求・損害賠償請求の対象になります。また、状況によっては名誉毀損(民法709条)や信用毀損罪(刑法233条)での対応も可能です。

この記事では、競合他社による虚偽表示・営業毀損行為への対応方法を解説します。

不正競争防止法が規制する「虚偽事実の告知・流布」

不正競争防止法2条1項21号は以下の行為を不正競争と定めています。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

4つの要件:

① 競争関係にある他人

同じ市場で競争している事業者であること。直接の競合他社が典型ですが、間接的な競争関係でも足りることがあります。

② 営業上の信用を害する

相手の商品・サービスの品質・安全性・財務状況・法令遵守状況など、ビジネス上の信用にかかわる事実であること。

③ 虚偽の事実

客観的に事実と異なる内容であること。誇張・歪曲・文脈を外した部分的な引用なども「虚偽」に含まれます。

④ 告知または流布

告知:特定の相手(取引先・顧客)に伝えること 流布:不特定多数に広める(SNS投稿・ウェブサイト掲載・プレスリリースなど)

具体的な被害類型と対応

ケース①:SNS・ウェブサイトでの虚偽投稿

競合がSNSで「A社の製品には欠陥がある」「A社は過去に行政処分を受けている」などの虚偽情報を投稿するケース。

対応策:

  • 投稿のスクリーンショット・URL・投稿日時を保全
  • プラットフォームへの削除申請(緊急措置)
  • 発信者情報開示請求(匿名の場合)
  • 不正競争防止法に基づく差止・損害賠償請求

ケース②:取引先・顧客への直接の告知

競合の営業担当者が取引先に「A社は財務状況が悪化している」「A社の品質管理に問題がある」などと吹き込むケース。

対応策:

  • 情報を受け取った取引先からの事実確認(陳述書・メール等)
  • 被害状況(失注・取引解消)の記録
  • 警告書の送付
  • 場合によっては刑事告訴(信用毀損罪・業務妨害罪)

ケース③:虚偽の比較広告

「他社製品より当社製品の方が○○の点で優れている」という内容に客観的根拠がなく、虚偽・誇大である場合。

対応策:

  • 広告内容の保全(チラシ・ウェブページのスクリーンショット)
  • 広告の根拠となるデータの有無の確認(開示要求)
  • 不正競争防止法・景品表示法(優良誤認)双方での対応を検討

「虚偽」の立証:実務上のポイント

虚偽事実の告知・流布で差止・賠償請求を行うには、その内容が客観的に事実と異なることを立証する必要があります。

立証の方法:

  • 行政機関の公式資料(処分履歴がないことを示す公文書等)
  • 第三者機関による品質・安全性の検査結果
  • 財務諸表・公開情報による財務状況の反証
  • 専門家(技術者・会計士等)の意見書

「意見・評価」との区別: 事実の摘示でなく、「A社の製品は使いにくいと感じた」などの主観的評価・意見は、「虚偽の事実」に該当しない場合があります。しかし、事実と意見が混在している場合や、文脈から事実の摘示と受け取られる場合は違法となりえます。

損害賠償の算定

営業毀損による損害賠償額は以下の方法で算定します。

  • 逸失利益:虚偽情報が原因で失った売上・契約
  • 信用回復費用:対外的な説明・広告等に要した費用
  • 弁護士費用:不法行為の場合、弁護士費用の一部が損害として認められることがある

因果関係(虚偽情報のせいで損害が生じた)の立証が必要なため、失注した取引先からの事情聴取、時系列での売上変化のデータ等が重要な証拠になります。

刑事対応:信用毀損罪・業務妨害罪

悪質なケースでは刑事告訴も有効です。

信用毀損罪(刑法233条): 虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損する行為。3年以下の懲役または50万円以下の罰金。

偽計業務妨害罪(刑法233条): 上記の手段で業務を妨害する行為。同刑。

刑事告訴のメリットは、捜査機関が証拠収集を行う点です。発信者が特定できていない場合でも、警察の捜査により判明することがあります。

対応の優先順位

状況 優先すべき対応
SNSで拡散中・緊急性あり 削除申請+仮処分申立て
取引先への告知が発覚 証拠確保+警告書
損害が大きく悪質 訴訟+刑事告訴
発信者が不明 発信者情報開示請求

まとめ

競合他社による虚偽表示・営業毀損行為は、不正競争防止法・名誉毀損・信用毀損罪など複数の法律で対応できます。

重要なのは、被害を発見した直後に証拠を保全することと、早期に弁護士に相談することです。時間が経つほど証拠が消え、損害が拡大します。

「これは法的に問題があるのか」という段階からご相談いただけます。

ご相談はこちら 虎ノ門法律特許事務所では、虚偽表示・営業毀損行為への対応を弁護士がサポートします。SNSの投稿から取引先への告知まで、幅広い類型に対応しています。お電話またはWebフォームからお気軽にどうぞ。

本記事は一般的な情報提供を目的とし、法的アドバイスを提供するものではありません。具体的な問題は弁護士にご相談ください。

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