商標を無断使用された・模倣品を売られた場合の対応

「自社の商品名とそっくりの商品がAmazonで売られている」「他社がうちのブランド名を店名に使っている」「模倣品のせいで粗悪品のクレームがうちに来る」――自社ブランドの無断使用や模倣品を発見したとき、放置は禁物です。模倣品の流通は、売上の逸失だけでなく、品質への信頼というブランドの根幹を毀損し、放置期間が長いほど回復が難しくなります。

一方で、いきなり感情的な抗議や不用意な警告を行うのも危険です。相手や態様の見極めを誤ると、反撃(登録への無効審判や不使用取消審判、営業妨害だとの反論)を招いたり、SNS上で紛争が公開されて自社の評判を損なったりすることがあります。

このページでは、商標・不正競争防止法に注力する弁護士・弁理士が、無断使用・模倣品を発見したときに取れる手段と、失敗しない進め方を解説します。

模倣品の被害が拡大中の方は、証拠の保全からすぐに着手します

知財トラブルの相談を予約する

お電話:03-6205-7455LINEでのご相談・ご予約も承ります。法律相談料は60分1万1000円(税込)です。

まず行うべきこと:証拠の保全

警告や請求に先立ち、相手方の使用の証拠を確保することが最優先です。警告した途端に相手が販売ページを削除し、侵害の立証や損害額の算定が困難になる例が後を絶ちません。

  • 販売ページ・商品ページのスクリーンショット(URL・日付入り)
  • 実物の購入(購入履歴・納品書・現物の保管)
  • 販売数量・レビュー数・価格の記録
  • 相手方の会社情報・特定商取引法に基づく表示の保存

当事務所では、証拠保全の方法のご案内から、必要に応じた公証・調査まで対応します。

権利行使の前に確認すべき3つのポイント

1. 自社の商標は登録されているか

商標権の行使には、原則として商標登録が必要です。登録済みであれば、指定商品・役務の範囲と相手の使用態様を照合します。

未登録でも打つ手はあります。 自社の商品名・営業表示が需要者の間に広く認識されている(周知性がある)場合には、不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)により、著名といえる場合には同2号により、差止め・損害賠償を請求できる余地があります。また、商品の形態そのものを模倣された場合は、日本国内で最初に販売された日から3年以内であれば同3号(形態模倣)での請求も検討できます(3年を経過した商品は同法19条1項6号イにより適用除外となります)。未登録の場合は、並行して商標出願を行い、将来の権利行使の基盤を固めることも重要です。

2. 相手の使用は「侵害」といえるか

商標権侵害の成立には、①登録商標と同一・類似の商標を、②指定商品・役務と同一・類似の商品・役務に、③商標として使用していることが必要です。類否は外観・称呼・観念と取引の実情から判断されます。確実に侵害といえる事案か、争いの余地がある事案かで、警告書のトーンと戦略を変えます。

3. 相手の登録・抗弁の有無

相手が別の商標登録を持っている場合や、先使用権を主張し得る場合には、単純な警告では解決しません。相手の権利関係の調査(J-PlatPat等)を先に行うことで、反撃リスクを見積もったうえで着手できます。

取れる法的手段

手段内容向いている場面
警告書(内容証明)の送付使用中止・在庫廃棄・損害賠償等を求める。弁護士名義で送ることで真剣度が伝わり、任意の解決率が上がるほとんどの事案の第一手
ECプラットフォームへの申告Amazon・楽天・Yahoo!・メルカリ等の権利侵害申告制度で出品削除を求めるネット上の模倣品・相乗り出品
差止請求訴訟・仮処分使用の停止・侵害品の廃棄を裁判所に求める(商標法36条)警告で止まらない場合、被害拡大が速い場合
損害賠償請求商標法38条の損害額推定規定(譲渡数量×単位利益、利益額の推定、使用料相当額)を活用過去の販売分の賠償を求める場合
信用回復措置請求謝罪広告等(商標法39条・特許法106条準用)粗悪な模倣品で信用が毀損された場合
税関の輸入差止申立て海外からの模倣品輸入を水際で差し止める海外製模倣品が繰り返し流入する場合
刑事告訴商標権侵害罪(商標法78条・78条の2)悪質・大規模な事案

※Amazon・楽天・メルカリでの模倣品・相乗り出品への対処は、Amazon・楽天・メルカリの模倣品・相乗り出品対策で詳しく解説しています。

解決までの流れ

  1. ご相談・調査:被害状況・証拠・双方の権利関係を確認し、侵害の成否と最適な手段の組み合わせを診断します。
  2. 証拠保全・方針決定:目的(止めたいのか、賠償を取りたいのか、両方か)と費用対効果から方針を決めます。
  3. 警告書送付・プラットフォーム申告:弁護士名義で実施。以後の交渉窓口は弁護士が引き受けます。
  4. 交渉・合意書締結:使用中止に加え、賠償額、在庫の処理、再発時の違約金、清算条項を盛り込んだ合意書で紛争を完全に終了させます。
  5. 訴訟・仮処分:交渉で解決しない場合、差止め・損害賠償の訴訟提起まで一貫対応します。

初動を誤ると選択肢が狭まります。まずは現状をお聞かせください。

知財トラブルの相談を予約する

お電話:03-6205-7455LINEでのご相談・ご予約も承ります。法律相談料は60分1万1000円(税込)です。

解決事例

主力製品とそっくりの製品を販売された事案で、訴訟を経て販売中止・在庫廃棄の保証・違約金条項を獲得しました。→解決事例を見る

ネット上で自社ブランドに似た名称の商品が数十件販売されていた事案で、一斉警告とライセンス契約により訴訟なしで収束させました。→解決事例を見る

※依頼者が特定されないよう内容を一般化しています。

弁護士費用

  • 法律相談:60分1万1000円(税込)
  • 警告書の作成・送付、交渉・訴訟対応の費用は、事案の内容に応じて初回相談時にお見積りします。詳細は弁護士費用をご覧ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 商標登録をしていませんが、模倣をやめさせられますか。

商品名・営業表示が需要者に広く知られている場合は不正競争防止法(周知表示混同惹起行為等)で、商品形態の模倣であれば日本国内で最初に販売された日から3年以内なら形態模倣の規定で、差止め・損害賠償を請求できる余地があります。あわせて商標出願も進めるのが定石です。

Q2. 警告書は自社名義で送ってもよいですか。

可能ですが、法的根拠の構成を誤ると反論の口実を与え、逆に「営業妨害だ」と反撃されるリスクもあります。類否や指定商品役務の検討を踏まえた弁護士名義の警告書のほうが、任意の解決に至る率が高いのが実情です。

Q3. 損害賠償はどのくらい請求できますか。

商標法38条に損害額の推定規定があり、相手の譲渡数量×自社の単位利益、相手が得た利益額、または使用料相当額をもとに算定します。相手の販売数量等の資料は訴訟で開示を求めることもできます。

Q4. 相手が海外の事業者(越境EC)の場合も対応できますか。

国内プラットフォームへの申告や税関の輸入差止申立てなど、相手が海外でも国内で実効性のある手段があります。

Q5. 警告したら逆に、こちらの商標登録の取消し・無効を狙われることはありますか。

あります。登録商標を3年以上使用していない場合の不使用取消審判が典型です。警告の前に自社登録の使用実績・脆弱性を点検し、反撃リスクを見積もってから着手することが重要です。

Q6. どこまで似ていれば「類似」として請求できますか。

外観・称呼・観念を総合し、取引の実情を踏まえて出所の混同のおそれで判断されます。判断は微妙な事案が多いため、裁判例の蓄積に基づく見立てが必要です。ご相談時に見通しをお伝えします。

弁護士・弁理士 大熊裕司

このページの監修

虎ノ門法律特許事務所 代表
弁護士・弁理士 大熊 裕司

第一東京弁護士会所属(登録番号:37803)・日本弁理士会所属。商標・不正競争防止法をはじめとする知的財産紛争に注力し、警告書対応から審判・訴訟まで一貫して取り扱う。

© 虎ノ門法律特許事務所(知財・商法・不正競争防止法サイト)