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2026/03/01

周知著名商品表示の保護・侵害対応|不正競争防止法に強い弁護士【虎ノ門法律特許事務所】


実は、商標登録がなくても、不正競争防止法の「周知著名商品表示」の規定により、強力な保護を受けることができます。

本記事では、 虎ノ門法律特許事務所 が、周知著名商品表示の保護・侵害対応について、最新の判例(2024年のTRIPP TRAPP椅子事件など)も交えながら、実務的に解説いたします。

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1. 周知著名商品表示とは?

1-1. 不正競争防止法の保護対象

不正競争防止法第2条第1項第1号・第2号は、他人の周知・著名な商品等表示を保護する規定です。

「商品等表示」とは、氏名、商号、商標、標章、商品の容器・包装、その他の商品又は営業を表示するものを指します。要するに、商品やサービスの出所を示すすべての表示が対象です。 [経済産業省]

1-2. なぜ商標登録がなくても保護されるのか?

商標登録がない場合でも、市場での実際の使用により、需要者の間に広く認識(周知)されている、あるいは全国的に極めて高い知名度(著名)を持っている表示であれば、不正競争防止法による保護を受けることができます。

これは、登録という形式的要件ではなく、市場における実際の知名度や信頼(業務上の信用)を保護の根拠としているためです。

2. 2条1項1号(周知表示混同惹起行為)と2号(著名表示冒用行為)の違い

不正競争防止法第2条第1項第1号と第2号は、似ているようで重要な違いがあります。

項目 2条1項1号(周知表示混同惹起行為) 2条1項2号(著名表示冒用行為)
知名度の要件 周知(需要者の間に広く認識されている) 著名(全国的に極めて高い知名度)
混同の要件 必要(他人の商品・営業と混同を生じさせる) 不要(混同がなくても成立)
保護の目的 出所の混同・誤認を防止 顧客吸引力のただ乗り(フリーライド)、ブランド価値の希釈化(ディリューション)防止
適用範囲 混同の生じる範囲(競争関係や類似性が考慮される) 全国的に著名であれば、業種の異なる場合でも可能

2-1. 周知表示混同惹起行為(1号)のポイント

  • 混同を生じさせることが要件:他人の商品や営業と混同を生じさせる行為であることが必要です
  • 周知性の範囲:特定の地域や需要者の間で広く知られていれば足ります
  • 広義の混同も含む:親子会社やライセンス関係などの密接な関係があると誤認させる場合も含まれます

2-2. 著名表示冒用行為(2号)のポイント

  • 混同の要件は不要:著名な表示と同一・類似の表示を使用するだけで成立します
  • 著名性の要件が高い:全国的に、かつ需要者を超えて一般消費者にまで著名である必要があります
  • 業種が異なっても可能:「スナックシャネル事件」(最高裁平成10年9月10日判決)のように、著名ブランドが異なる業種に無断で使用されても保護されます

3. 周知著名商品表示の成立要件

3-1. 周知表示混同惹起行為(2条1項1号)の要件

  1. 商品等表示の使用等:他人の商品等表示と同一または類似のものを使用し、またはその表示を使用した商品を譲渡、引き渡し、展示、輸出、輸入、または電気通信回線を通じて提供すること
  2. 表示の周知性:他人の商品等表示が、需要者の間に広く認識されている(周知である)こと
  3. 混同惹起:他人の商品や営業と混同を生じさせる行為であること

3-2. 著名表示冒用行為(2条1項2号)の要件

  1. 自己の商品等表示としての使用等:他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを、自己の商品等表示として使用すること
  2. 表示の著名性:日本国内の全域において、需要者の間に広く認識されているだけでなく、全国的に極めて高い認識度を持つ「著名」なものであること
  3. 同一・類似性:自己が使用する表示が、他人の著名な商品等表示と同一または類似していること
  4. 混同の要件は不要:著名な表示の顧客吸引力へのただ乗りや、ブランド価値の希釈化を防止するため、混同の有無は問いません

4. 最新判例:TRIPP TRAPP椅子事件(2024年)

4-1. 事件の概要

2024年9月25日、知的財産高等裁判所は、子供用椅子「TRIPP TRAPP(トリップ・トラップ)」の形態が不正競争防止法上の「商品等表示」に当たると判断しました。

判断のポイント:

  • 特別顕著性:一直線の側木と脚木がL字型に接合され、溝に座面板を挿入する等の特徴の結合が、他社製品にはない「特別顕著性」を有すること
  • 周知性:長年の販売実績、受賞歴、インテリア雑誌での紹介、SNSでの投稿内容、アンケート結果等から、需要者の間で「周知」となっていたこと

ただし:被告製品との類似性は否定され、最終的には請求は棄却されました。しかし、商品形態の商品等表示性が認められた点は、実務上極めて重要な判断です。

4-2. 実務的な示唆

  • 商品形態そのものも、一定の要件を満たせば「商品等表示」として保護される可能性があります
  • ロゴや商品名だけでなく、パッケージデザイン商品の外観も保護対象となり得ます

5. 侵害事例と対応方法

5-1. 典型的な侵害パターン

パターン 具体例
ロゴの模倣 有名なロゴをわずかに改変して使用
商品名の流用 有名な商品名を類似の商品に使用
パッケージの模倣 有名商品のパッケージデザインを酷似させて使用
ドメイン名の取得 他人の著名な商標・商品名をドメイン名として取得・使用

5-2. 法的対応手段

6. 対応フローと費用相場

6-1. 対応フロー

STEP 1
事実確認
侵害の具体的内容、使用状況、販売地域、販売時期などを確認
STEP 2
周知性・著名性の証拠収集
販売実績、広告宣伝費、メディア露出、受賞歴、市場調査など
STEP 3
警告書の送付(任意)
侵害の中止を求める内容証明郵便など
STEP 4
交渉・和解
使用中止、損害賠償、再発防止策などの合意
STEP 5
法的措置(交渉不調の場合)
仮処分申請、民事訴訟、刑事告訴など

6-2. 費用相場(目安)

サービス 費用相場
警告書の作成・送付 10万円~30万円
仮処分申請 50万円~150万円(着手金)+実費
民事訴訟(第一審) 50万円~(着手金)+報酬金(成功報酬型もあり)
刑事告訴 30万円~(着手金)

※ 事案の複雑さ、対象となる商品・サービスの規模、侵害の範囲などにより変動します。

7. 虎ノ門法律特許事務所の強み

当事務所は、不正競争防止法に関する豊富な実務経験を有し、以下の強みがあります:

  • 迅速な対応:侵害事案の緊急性を理解し、迅速に法的措置を講じます
  • 全国対応:東京(虎ノ門・港区)を拠点としながら、全国の企業様にサービスを提供
  • Web相談可能:オンラインでの法律相談に対応し、初回相談から丁寧にご対応
  • 民事・刑事の両面対応:差止請求・損害賠償請求などの民事手続きに加え、刑事告訴も支援

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まとめ

商標登録がなくても、不正競争防止法の周知著名商品表示の規定により、ロゴ・商品名・パッケージデザインを保護できます。

特に、2条1項2号(著名表示冒用行為)は、混同の有無を問わず、著名なブランドの価値を保護するための強力な手段です。

侵害事案が発生した場合は、早急に専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

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