JACCS事件 富山地裁平成12年12月6日判決

本件は、インターネット上「jaccs」の文字を含むドメイン名を使用し、かつ、開設するホームページにおいて「JACCS」の表示を用いて営業活動をする被告に対し、「JACCS」という営業表示を有する原告が、被告による右ドメイン名の使用及びホームページ上での「JACCS」の表示の使用は、不正競争行為(不正競争防止法2条1項1号、2号)に当たるとして、右ドメイン名の使用の差止め及びホームページ上の営業活動における右表示の使用の差止を求めた事案です。(このころにはまだ2条1項12号の規定が無かった為、2条1項1号、2号に基づき差止請求がなされています。)
富山地裁は、「ドメイン名がその登録者を識別する機能を有する場合があることからすれば、ドメイン名の登録者がその開設するホームページにおいて商品の販売や役務の提供をするときには、ドメイン名が、当該ホームページにおいて表れる商品や役務の出所を識別する機能をも具備する場合があると解するのが相当であり、ドメイン名の使用が商品や役務の出所を識別する機能を有するか否か、すなわち不正競争防止法2条1項1号、二号所定の『商品等表示』の『使用』に当たるか否かは、当該ドメイン名の文字列が有する意味(一般のインターネット利用者が通常そこから読みとるであろう意味)と当該ドメイン名により到達するホームページの表示内容を総合して判断するのが相当である。被告は、本件ドメイン名の登録を受けた後、ホームページを開設し、右画面には、『ようこそJACCSのホームページへ』というタイトルの下に、『取扱い商品』、『デジタルツーカー携帯電話』及び『NIPPON KAISYO,INC.』のリンク先が表示されており、右リンク先の画面において、簡易組立トイレや携帯電話の販売広告がされていた(争いのない事実)。右ホームページの表示内容(リンク先も含む。)は、携帯電話等の商品の販売宣伝をするものであり、右ホームページの画面には大きく『JACCS』と表示されていて、ホームページの開設主体であることを示しており、ドメイン名も『jaccs』で、『JACCS』のアルファベットが小文字になっているにすぎないことからすれば、この場合の本件ドメイン名は、右ホームページ中の『JACCS』の表示と共に、ホームページ中に表示された商品の販売宣伝の出所を識別する機能を有しており、『商品等表示』の『使用』と認めるのが相当である。」と判断しました。

お気軽にお問合せください!

お問合せ・ご相談

主な業務地域
日本全国

連絡先 お問合せフォーム