J-PHONE事件 東京高裁平成13年10月25日判決

控訴人(被告)は、日本におけるドメイン名の割当てを統括している社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(以下「JPNIC」という。)から「j-phone.co.jp」のドメイン名(以下「本件ドメイン名」という。)の割当てを受け、「http://www.j-phone.co.jp」をインターネット上のアドレスとして、インターネット上のウェブサイトを開設し、「J-PHONE」等の表示を用いて商品の宣伝等をしていました。

被控訴人(原告)は、「J-PHONE」の表示を用いて、移動体通信事業(携帯電話による通信サービス)を行っており、被控訴人は控訴人の行為は、不正競争防止法2条1項1号、2号所定の不正競争行為に該当するとして、表示の使用中止及びウェブサイトからの抹消並びに損害賠償請求を行いました。原判決では中止及び抹消の各請求が認容され、損害賠償の請求も一部認容された為、控訴人がこれを不服として控訴したのが本件訴訟にあたります。
東京高裁は、「控訴人は、被控訴人が本件サービス名称の使用を開始したのは、控訴人が本件ドメイン名の割当てを受けた後のことである旨主張する。しかしながら、被控訴人が本件サービス名称の使用を開始したのは平成9年2月7日であり、同名称は、全国的な広告宣伝活動の結果、遅くとも、控訴人が本件ドメイン名の割当てを受けた平成9年8月29日の時点では既に被控訴人及びその関連会社の営業を示す表示として全国規模で広く認識されるに到っていたことは、上に引用した原判決が正当に認定するところである。控訴人の上記主張は、その前提において既に誤っており、採用することができない。控訴人は、原判決が、主文第2項において、控訴人に対し、ウェブサイト上からの本件表示の抹消を命じたのは、控訴人の表現の自由を侵害するものであって許されない旨主張する。しかしながら、不正競争行為を現にしているもの、あるいは、不正競争行為をするおそれがある者に対し、当該不正競争行為を禁止することが許されるのは当然であり、仮に、そのことによって表現の自由が制約を受けることになったとしても、そのことは何ら憲法に違反するものではないというべきである。控訴人の主張は、採用することができない。」として本件控訴を棄却しました。

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