三菱ホーム事件 東京地裁平成14年7月18日判決

本件の原告らはいずれも旧三菱財閥に由来するいわゆる「三菱グループ」に属する会社であって、その社名中に「三菱」の名称を含んでいて、「三菱」の名称及びいわゆる「スリーダイヤマーク」を使用しています。
被告は、熊本県熊本市所在の株式会社で「中九州ライトハウス株式会社」から「株式会社三菱ホーム」に商号を変更し、かかる商号の下で、不動産事業、賃貸事業及び建築事業を営んでいます。
被告は、その開設するホームページにおいて、被告会社の名称である「株式会社三菱ホーム」等を表示し、不動産部では九州全般の土地建物の仲介・買い取り・販売を、賃貸部ではマンション・アパート・テナント・一戸建ての斡旋や管理を、建築部では注文住宅・アパート・テナントのリフォーム工事をそれぞれ行っていることなどを紹介してます。
原告は、被告の行為は不正競争防止法2条1項2号に該当するとして差止及損害賠償を請求しました。
東京地裁は、「三菱グループには、多方面にわたり事業を展開する数多くの企業があり、各企業は全国各地に本店、支店を有する。また、同グループは、長年にわたって多大の広告宣伝費を費やし、パンフレット等に三菱標章を表示しているほか、『三菱』の名称及び三菱標章について、国内外でほぼすべての商品及び役務の分野において商標登録を受けている。また、国内外のマスコミ等においても、三菱グループに属する企業が、『三菱』もしくはMitsubishiの名称又は三菱標章と共に頻繁に採り上げられている。『三菱』の名称及び三菱標章(スリーダイヤのマーク)は、企業グループである三菱グループ及びこれに属する原告らをはじめとする企業を表すものとして著名であり、不正競争防止法2条1項2号にいう著名な商品等表示に該当するということができる。...被告が使用する被告名称(「株式会社三菱ホーム」という名称〔商号〕)のうち、『株式会社』及び『ホーム』という事業分野を示す一般名詞部分に商品ないし役務の出所識別機能がないことは明らかであるから、類否判断の上で意味のある要部は『三菱』の部分というべきところ、これは原告らの商品等表示である前記『三菱』と同一である。したがって、被告名称(「株式会社三菱ホーム」)は、『三菱』の名称と類似するものと認められる。」との判断を示しました。

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