断熱ドレインホース事件 大阪地裁平成8年11月28日判決

原告は、ドレンホースを開発し、これを「結露防止用SCS断熱ドレンホース(エアコン用)」の商品名で製造販売している者です。 被告は、訴外T社が製造したドレンホースを、「断熱ドレンホースソフトタイプ」の商品名で販売しています。 原告は、被告商品は原告商品の形態を模倣したものであり、原告はこのような被告商品の販売によって営業上の利益を侵害されたと主張して、不正競争防止法2条1項3号、4条に基づき損害賠償請求を行いました。
大阪地裁は、「原告は、被告商品は原告商品の新規性ある形態をすべて備えているから、原告商品の形態を模倣したものであると主張し、その原告商品の新規性ある形態として、【1】長尺ホースである、【2】外皮部分には内部に独立した伸縮自在のパッド状筒が内蔵されている、【3】ホース芯がプラスチック製である、との三点を挙げる。そこで、まず、これらの点が不正競争防止法二条一項三号にいう『商品の形態』に当たるか否かについて検討するに、他人が商品化のために資金、労力を投下して開発した商品について、その機能面ではなく形態面における模倣をもって不正競争行為とする同号の立法趣旨及び『形態』という用語の通常の意味に照らせば、同号にいう『商品の形態』とは、商品の形状、模様、色彩、光沢等外観上認識することができるものをいうと解すべきである。したがって、商品の機能、性能を実現するための構造は、それが外観に顕れる場合には右にいう『商品の形態』になりうるが、外観に顕れない内部構造にとどまる限りは『商品の形態』に当たらないといわなければならない(このような商品の機能、性能を実現するための内部構造は、要件を具備することにより特許法、実用新案法等による保護を受けることが可能であるから、権利保護に格別欠けるところはない。)。」との判断を示しました。

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