フットボール事件 最高裁昭和59年5月29日判決

本件の被上告人X1は米国法人でアメリカンフットボールのプロチームの名称及びシンボルマーク(以下、「本件表示」とします。)の商業的利用について管理しています。被上告人X2はX1から本件表示及びその商品化事業を許諾されたも日本法人です。
上告人Yは、本件表示が印刷されたシートで被覆したロッカーを販売していました。そこで、X1とX2は上告人に対して差止請求及び損害賠償請求などを行いました。
最高裁は、「ある営業表示が(旧法)不正競争防止法1条1項2号所定の他人の営業表示と類似のものにあたるか否かについては、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきものであることは当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和五七年(オ)第六五八号同五八年一〇月七日第二小法廷判決・民集三七巻八号登載予定)、また、ある商品表示が同項一号所定の他人の商品表示と類似のものにあたるか否かの判断についても、前示営業表示の類似判断の場合と同一の基準によるべきものと解するのが相当である。...不正競争防止法1条1項1号又は二号所定の他人には、特定の表示に関する商品化契約によつて結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含まれるものと解するのが相当であり、また、右各号所定の混同を生ぜしめる行為には、周知の他人の商品表示又は営業表示と同一又は類似のものを使用する者が、自己と右他人とを同一の商品主体又は営業主体と誤信させる行為のみならず、自己と右他人との間に同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存するものと誤信させる行為をも包含し、混同を生ぜしめる行為というためには両者間に競争関係があることを要しないと解するのが相当である。」との判断を示しました。

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