原価セール事件 東京高裁平成16年9月29日判決

控訴人は、医薬品等の製造販売等を業とする株式会社です。被控訴人は、ドラッグストア等の店舗において、医薬品、化粧品等の販売を行うこと等を業とする株式会社です。被控訴人は、奈良県、広島県等に所在するドラッグストアにおいて、販売チラシに控訴人商品についてその仕入価格と「定価」を併記して比較した販売チラシを用い、「原価セール」と題して、仕入価格で控訴人商品を消費者に販売していました(以下、上記の行為を「原価セール」という)。控訴人は、仕入価格は営業秘密であり、被控訴人が仕入価格を開示した「原価セール」は不正競争防止法2条1項7号に該当するとして、損害賠償請求等を行いました。
東京高裁は、「不正競争防止法2条1項7号は、『営業秘密を保有する事業者(保有者)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為』を『不正競争』であるとするものである。すなわち、同規定は、営業秘密を保有者から『示された』者が、不正競業などの目的をもって、その営業秘密を不正に開示するなどの行為を対象とするものである。そこで、検討するに、被控訴人は、控訴人商品に関する被控訴人ダイコクと控訴人との間における売買代金額(仕入価格)という情報を『示された』ものではないのであるから、これを一般消費者に開示しても、不正競争防止法2条1項7号が対象とする行為には該当しないことが明らかである。」として価格の開示行為は、不正競争防止法2条1項7号所定の不正競争行為には該当しないと判断しました。

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