周知商品等表示の混同惹起行為(不正競争防止法第2条第1項第1号)

 周知商品等表示の混同惹起行為については、不正競争防止法第2条第1項第1号において、不正競争の一類型として規定されています。
 本条の趣旨は、他人の商品等表示として需要者間に広く知られているものと同一又は類 似の表示を使用して、その商品又は営業の出所について混同を生じさせる行為を規制することにより、周知商品等表示に化体された信用を保護し、事業者間の公正な競争を確保することにあります。
 「商品等表示」とは、「商品の出所又は営業の主体を示す表示をいい,具体的には,人の業務に係る氏名,商号,商標(サービスマークを含む)等」(経済産業省 知的財産政策室 編「逐条解説 不正競争防止法 ~平成27年改正版~」)をいうとされております。「商品等表示」は、自他識別力又は出所表示機能を有するものでなければならず、表示が、単に用途や内容を表示するにすぎない場合には商品等表示に含まれないとされています。

 「商品」とは、市場における流通の対象物となる有体物又は無体物をいいます。
 「営業」とは、単に営利を直接の目的として行われる事業に限らず、事業者間の公正な競争を確保するという法目的からして、広く経済収支上の計算の上に立って行われる事業一般を含み、事業に営利性は要求されないので、非営利事業についても、経済収支上の計算の上に立って行われているものである以上は「営業」に該当すると解されています。
 「需要者の間に広く認識されている」とは、必ずしも全国的に認識されていなくても、一地方であっても保護すべき一定の事実状態が形成されていればその限りにおいて保護されるべきと解されています。
 「混同」については、現に混同が発生していることは必要でなく、混同を生じるおそれがあれば足りるとされています。「混同を生じさせる行為」には、被冒用者と冒用者との間に競業関係があり、直接の営業主体の混同を生じさせる「狭義の混同惹起行為」のみならず、緊密な営業上の関係や同一の表示を利用した事業を営むグループに属する関係があると誤信させるような「広義の混同惹起行為」も含むと解されています。

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