不服2015 - 8802「ねむる前に(標準文字)」

本願商標「ねむる前に(標準文字)」は、り、第5類「ビタミン剤、アミノ酸剤、滋養強壮変質剤、サプリメント、食餌療法用飲料、食餌療法用食品」を指定商品として商標登録出願されましたが、「本願商標は、『ねむる前に』の文字を表示してなるところ、指定商品の分野において、寝る(休息)前に摂取し、睡眠をサポートする成分が入っていることをうたっている商品があることから、これをその指定商品に使用しても、『寝る前に摂取すること』程の意味合いを認識させるにとどまり、単に商品の使用時期を表示したにすぎないものと認める。」として、商標法第3条第1項第3号を理由として拒絶査定を受けました。本願出願人は、これを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。

当審の判断「本願商標は、『ねむる前に』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ねむる』の文字は、『眠る』の文字を表してなるものと無理なく理解できるものであり、『心身の動きが一時的に低下し、目を閉じて無意識の状態になる。』(「大辞泉 増補・新装版」小学館発行)を意味するもので、いわゆる『睡眠』のことであることから、全体として『睡眠状態になる前に』程の意味を想起させるものである。ところで、本願の指定商品である『サプリメント』等の取引においては、通常、『薬剤』の場合と異なり、商品の使用方法や説明で、商品を摂取する時期について明示する例が多いとはいえないし、需要者も摂取時期に気を配って商品を購入することが普通とまではいえないものである。そして、睡眠をサポートすることをうたった商品においても、商品の説明や用法等において、それを摂取する時期として、『眠る前』の語が一般に使用されているような実情を見いだすことはできない。しかも、言葉のニュアンスとして、『眠る』という行為は『心身の動きが一時的に低下する状態』になるものであるから、その前において、サプリメント等を摂取する行動をすることは考えがたいものである。してみると、本願商標は、「睡眠状態になる前に」という意味を想起することはあるとしても、商品の使用の方法や使用の時期を直接的かつ具体的に表示するものとして、本願の指定商品の取引者、需要者に把握、理解されるものとはいいがたいものである。また、当審において、職権をもって調査したところ、「ねむる前に」の語がその商品の品質等を具体的に表すものとして、取引上、普通に使用されている事実を発見することはできなかった。そうすると、本願商標は、その指定商品に使用したとしても、商品の品質等を表示するものとして認識されるとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。」として、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないので登録すべきであるとの審決をしました。

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