ウエンガー事件 知財高裁平成29年6月8日判決 

 本件は、不使用取消審判の被請求人であった原告が使用証拠を提出しなかった為、取消審決がされたことに対する審決取消訴訟事件です。
 本件訴訟において注目されたのは、原告が使用証拠として提出したベルトに通すことにより腰に装着することが可能な収納用具が指定商品である、第18類「small
personal leather goods」(革製の小さな身の回りの物)等に該当するのか、それとも被告の主張するとおりナイフ専用のレザーケースとして第8類の商品となるのかということです。

 知財高裁は、原告商品は第18類「smallpersonal leather
goods」(革製の小さな身の回りの物)に該当するとの判断をし、原告は、要証期間内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、商標登録取消請求に係る指定商品の一部に、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していたことを証明したものと認められるから原告の請求には理由があるとして審決を取消す判決を出しました。

知財高裁の判断
「本件商品1~3は,いずれも,革製で略直方体のケースである。蓋の表面には,本件商標が刻まれ,その右側に『WENGER』の欧文字が刻まれ,さらにその右肩に『®』が刻まれている。(甲9,10,18)本件商品1は,『エヴォグリップS54以外の85mmナイフに適合する革ケースです。』,本件商品2は,『130mmのスイスアーミーナイフに適合する革ケースです。』,本件商品3は,『ネイルクリップを含む全ての65mmナイフに適合する革ケースです。』と説明されている(甲16)。上記『85mmナイフ』『65mmナイフ』は,ビクトリノックス日本支社において取り扱っている商品である,85mm,65mmの『スイスアーミーナイフ』を意味しており,上記『130mmのスイスアーミーナイフ』を含む『スイスアーミーナイフ』は,刃物であるナイフ及びその他のさまざまなツール(爪切り,爪ヤスリ,爪そうじ,ドライバー,栓抜き,穴あけ,つまようじ,ピンセットなど)をまとめて携帯することができるものである(甲18)。...本件商品1~3は,革製のケースであって,スイスアーミー ナイフに適合するものとして販売されているものの,その形状は略直方体であってスイスアーミーナイフ以外の物を収納することも可能であること,その販売形態は,収納物を伴うことなく本件商品1~3のみで購入することが可能であること,スイスアーミーナイフには,刃物であるナイフ等以外に,栓抜きやつまようじなど,他の物も組み込まれていることからすると,第18類「small
persona l leather goods」(革製の小さな身の回りの物)に該当するということができる。」

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