PAG事件 知財高裁平成23年10月24日判決

原告は、「§PAG!\Point AD Game」の図形商標を出願しましたが、「PAG」という文字商標を引用されて、4条1項11号で拒絶査定を受け、審判を請求しましたが、請求は成り立たないとの審決を受けました。原告は、これを不服として本件審決取消訴訟を起こしました。
知財高裁は、「本願商標の外観は、上段の『P』『A』『G』の文字、『!』の符号、足跡状の図形及び下段の『Point AD Game』のすべてが、青色の輪郭線又は塗りつぶされた文字で表記され、全体として、まとまりのある一体的な図形として描かれていること、上段の『PAG』の文字は、下段の『Point AD Game』の頭文字であることが想起されること、足跡状の図形がオレンジ色に塗りつぶされ、文字及び記号に囲まれた中で、生き生きとした印象を与えていること等に照らすならば、これに接した取引者、需要者は、それぞれの構成が相互に深く関連する、一体的な図形であると認識、理解するものと解される。したがって、本願商標において、「PAG」の文字部分のみが、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできず、「PAG」の文字部分のみを本件商標の特徴部分とすることできない。本願商標のうち、文字部分からは、『ピーエージー、ポイントエーデーゲーム』、『ピーエージー、ポイントアドゲーム』、『パグ、ポイントエーデーゲーム』、『パグ、ポイントアドゲーム』、『ピーエージー』、『パグ』などの称呼が生じる余地があり得る。本願商標のうち『PAG』の文字部分は、下段の『Point AD Game』の頭文字であると連想させるが、必ずしも格別の観念は生じることはない。本願商標のうち、「Point AD Game」の文字部分からは、同文字は、必ずしも成熟した語とまではいえないことから、確定的な観念が生じるか否かはさておき、何らかの点数や広告等に関連するゲームないしゲーム機を連想させる余地がある。本願商標のうち、図形部分からは、動物の足跡と連想させる余地がある。 ...引用商標は、別紙引用商標目録記載のとおり、『PAG』の欧文字を横書きした外観を有し、『ピーエージー』、『パグ』などの称呼が生じる余地があるものの、格別の観念は生じない。...本願商標は、上記のとおり、その外観は、『P』『A』『G』の文字、『!』の符号、足跡状の図形及び下段の『Point AD Game』のすべてが、青色の輪郭線又は塗りつぶされた文字で表記され、全体として、まとまりのある一体的な図形として描かれていること、上段の『PAG』の欧文字及び『!』の符号は、袋文字風にデザインされて横書きされ、このうち『P』の文字は、直線のみから構成され、欧文字『A』を左斜めに倒したような独特の字体が用いられていること、上段の『PAG』の文字は、下段の『Point AD Game』の頭文字であることが想起されること、足跡状の図形がオレンジ色に塗りつぶされ、アクセントをつけていること等の特徴があるのに対し、引用商標は、『PAG』の欧文字を横書きしたものであり、両商標は、外観において、相違する。本願商標は、『ピーエージー、ポイントエーデーゲーム』、『ピーエージー、ポイントアドゲーム』、『パグ、ポイントエーデーゲーム』、『パグ、ポイントアドゲーム』、『ピーエージー』などの称呼が生じ得るのに対して、引用商標は、『ピーエージ』、『パグ』の称呼を生じる余地がある。本願商標は、さまざまな称呼が生じる余地があること、引用商標は、何らの観念も生じず、確定的な称呼が生じるとはいいがたいことに照らすと、両商標は、称呼において、類似するとはいえない。本願商標は、『Point AD Game』の文字部分からは、何らかの点数や広告等に関連するゲームないしゲーム機を連想させる余地があり、図形部分からは、動物の足跡と連想させる余地があるのに対し、引用商標は、何らの観念を生じないから、両商標は、観念において、類似するとはいえない。以上によれば、本願商標と引用商標とは外観において相違し、観念及び称呼が類似するとまではいえず、取引の実情等を考慮しても、本願商標がその指定商品ないし指定役務に使用された場合に、引用商標との間で商品ないし役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれはないから、両商標は、類似しない。」として審決を取消しました。

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