マッサージクッション事件 知財高裁平成25年5月29日判決

原告は、片仮名の「マッサージクッション」を標準文字で表記した商標(以下「本願商標」という。)について、指定商品を第10類「家庭用電気マッサージ器」として、商標登録出願(以下「本願」という。)をし、その後、指定商品を「クッション形状の家庭用電気マッサージ器」に補正しました。原告は3条1項3号に該当するとして拒絶査定を受けたので、拒絶査定不服審判を請求しましたが、特許庁は請求不成立の審決をしました。原告は、審決には3条2項該当性の判断について誤りがあるとして本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「認定事実によれば、『マッサージクッション』の文字からなる本願商標について、『使用された結果、需要者において、原告の業務に係る商品であると認識することができるもの』と判断することはできない。その理由は、以下のとおりである。すなわち、(1) 一般の家庭用電気マッサージ器等の製造、販売に係る取引者、需要者において、『マッサージクッション』の語は、『手軽に持ち運べて、クッションとしても使えるマッサージクッション。』等の用例にみられるように、『クッション形状のマッサージ器』を意味する普通名詞として用いられている。また、各製造者等において自社製品を宣伝広告する場合、及びネット販売業者において各社の商品を紹介する際に、当該商品の出所を示す必要がある場合には、『マカロンマッサージクッション・MC-301』、『オムロン クッションマッサージャHM-341-BW ブラウン』、『クロシオ マッサージクッション シフォン チョコレート CH-301-CH』など、商標等の出所表示を付加して使用することが通例である。(2) 本件商品に関する原告の宣伝広告及びテレビ、雑誌、新聞等における商品紹介をみると、『ルルド マッサージクッション』と表示される例が多い。また、原告は、『ルルド』シリーズで本件商品を含む各種家庭用マッサージ器のほか、バランスツール、ベッド等を販売しているが、本件商品の包装箱、取扱説明書、カタログや原告のウェブサイトには、四角で囲まれた図形及び欧文字『Lourde』の組合せからなり登録商標を示す『○R 』を併記した『ルルド標章』も表示されている。 (3) 以上の事実経緯に照らすならば、本件商品の包装箱、取扱説明書、カタログや原告のウェブサイトにおける本件商品の表示に接した需要者は、『ルルド』ないし『ルルド マッサージクッション』等により、本件商品の出所が原告であると認識しているのであって、『マッサージクッション』のみによって、出所が原告であると認識することはないと解するのが合理的である。なお、本件商品の包装箱やカタログには、『Massage』及び『CUSHION(Cushion)』と表示されているが、包装箱やカタログにはルルド標章も付されていることや、包装箱とカタログ以外では、欧文字の表示はほとんど使用されていないことからすると、このことから、『マッサージクッション』の表示のみで本件商品の出所を認識することができるということはできない。原告は、本件商品の販売数及び小型マッサージ機器のマーケットシェアが50パーセントを超えること等の点を主張する。しかし、そのような事実から、『マッサージクッション』の語が、使用された結果、需要者において、原告の業務に係る商品であると認識することができるものと解することは到底できず、この点の原告の主張は採用の限りでない。」として3条2項該当性を否定しました。

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