3ms事件 知財高裁平成24年7月26日判決

被告は、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。)、裁縫、ししゅう」等を指定役務とする商標「3ms」(以下、「本件商標」とする)の商標権者です。原告は、被告の「3ms」の商標は原告の「3M」商標と混同を生ずる恐れがあるとして、本件商標に対して無効審判を請求しましたが、本件審判の請求は成り立たないとの審決を受けましたので、原告はこれを不服として本件訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本件商標からは、『スリーエムズ』、『スリーエムエス』、『サンエムズ』又は『サンエムエス』の各称呼が生じ、引用商標1からは、『スリーエム』の称呼が生じる。本件商標から生じ得る『スリーエムズ』の称呼は、引用商標1の『スリーエム』の称呼の末尾に『ズ』の1音が加わっているだけであり、本件商標の『スリーエムズ』の称呼と引用商標1の『スリーエム』の称呼とは類似するから、両商標は、称呼において類似するといえる。また、本件商標と引用商標1は、いずれも、その構成する各文字が、ほぼ同じ大きさ、高さ、太さで表記されていること、『3』及び『Mないしm』が共通することに照らすと、外観において類似するといえる。本件商標も引用商標1も、特定の観念を生じることはないから、対比することはできない。以上を総合すると、本件商標と引用商標1とは、類似する商標であるといえる。...【1】本件商標と引用商標1とは、外観及び称呼において類似し、類似の商標であること、【2】本件出願前から、原告や住友スリーエムの商号中の『スリーエム』部分は、日本国内において著名であること、【3】原告の関連会社は、日本国内において、引用商標1を使用して、文具製品・オフィス製品を始め、多分野、多種類に及ぶ製品を販売し、原告の関連会社が販売する製品の中には、被服に使用される中綿素材や反射材製品、衣類・布製品及び革に使用される防水スプレーも含まれていること、【4】衣服等の布製品においては、素材の開発から加工技術の開発まで同一の企業や関連会社が行う場合があり、上記中綿素材、反射材製品及び防水スプレーは、本件指定役務に含まれる「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。)」と密接に関連するといえること、が認められる。上記の事実を総合すると、本件商標を本件指定役務に使用すると、取引者・需要者において、当該役務が原告又は原告と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると混同するおそれがある」として本件商標は4条1項15号に該当すると判断し、審決を取消しました。

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