ルナ事件 知財高裁平成24年6月6日判決

原告は、本件商標1「LUNA」(登録第566229号)及び本件商標2「ルナ」(登録第2246146号)の商標権者です。被告は、本件商標1及び2の指定商品の内、第9類「電子応用機械器具及びその部品」について商標法50条1項に基づく商標登録の取消審判請求をしました。特許庁は、平成23年12月6日、本件商標1、2については被告請求に係る商品につき商標法50条2項所定の使用が認められないとして、本件商標1、2の登録を同商品について取り消すとの審決をし、その謄本は同月15日に原告に送達されました。原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
本件訴訟の争点は、「ネオンランプ」、「センサー用LED基板」が第9類「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれるか否かという点です。
 知財高裁は、まず「ネオンランプ」については「ネオンブラケットが用いられるパイロットランプは、これが取り付けられた機器の状態(例えばスイッチのオン、オフ)を示す表示灯としての機能を果たすものであるが、甲第25、第44号証によれば、ネオンランプ(ネオンブラケット)をその定電圧特性を活かして回路保護のために用いることがあることが認められるから、上記カタログにおける使用商標1、2の使用をもって、『電子応用機械器具及び部品』についての使用と評価することが可能である。この点、被告は、ネオンランプの主たる用途は照明にあるとか、原告の『ネオンランプ』が電球の類として用いられることは明らかであると主張するが、種々の発光色のネオンランプを用いて照明装置を構成することがあるとしても、原告の『ネオンブラケット』を照明装置ないしその部品にすぎないとしてよいと断定することはできないし、カタログに電球交換型ネオンブラケットのための『ネオン交換電球』が掲載されているとしても、ネオンランプを交換できるようにするために電球型のネオンランプが採用されているにすぎず、その名称ゆえに一般の照明用の『電球』と単純に同一視してよいかは疑問である」として、「ネオンランプ」は、第9類「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれるとの判断を示しました。
次に「センサー用LED基板」については、「『センサー用LED基板Assy』は基板上に複数のLED(発光ダイオード)を並べて実装したもの、『拡散照明装置』、『透過照明装置』は基板上にLEDのほかに、ツェナーダイオード、トランジスタ、コンデンサー等を実装して装置を構成したもの、『2面バックライト照明』も基板上にLEDのほかに、定電圧ダイオード等を実装し、偏光板と組み合わせるなどして装置を構成するもの(甲13、14)であるが、これらは顧客が画像解析装置を製造するために、注文を受けた原告においてその構成部品(装置)を設計、製造したものである(弁論の全趣旨)。ここで、上記『センサー用LED基板Assy』等が画像解析を行うために、対象となる物に光を照射する機能を果たすものであるとしても、日常生活において光を照らして空間を明るくする目的とは程遠いことは明らかである。そして、上記『センサー用LED基板Assy』等は、電子部品であるLEDやダイオード等を使用して構成されており、その機能に照らせば、電子の作用を応用し、その電子の作用が当該機械器具にとっての構成要素となっているということができる。そうすると、原告は、『電子応用機械器具及びその部品』につき、取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したということができる。」として、「センサー用LED基板」についても第9類「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれるとの判断をして、原告の請求を認め審決を取消しました。

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