ネットワークおまかせサポート事件 知財高裁平成26年8月6日判決

原告は、指定役務を第37類「事務用機械器具の修理又は保守、電子応用機械器具の修理又は保守、電話機械器具の修理又は保守、ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理、電気通信機械器具(「電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守、民生用電気機械器具の修理又は保守、電動機の修理又は保守、配電用機械器具の修理又は保守、発電機の修理又は保守」(補正後のもの)として商標「ネットワークおまかせサポート」(以下、「商標」とする。)について、商標登録出願を行いましたが、商標法3条1項3号に該当するとして拒絶査定を受けたので、拒絶査定不服審判を請求しましたが、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下、「本件審決」とする。)を受けました。原告はこれを不服として、本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本願商標は、『ネットワークおまかせサポート』の文字を、赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で、これに陰影を付してなる商標であり、『ネットワーク』の片仮名6字と、『おまかせ』の平仮名4字と、『サポート』の片仮名4字とを結合して一連表記した結合商標である。...『コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守』の役務と関連の深いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野においては、本件審決時(平成26年1月20日)までに、インターネットのホームページにおいて、本願商標を構成する文字のうち、『ネットワーク』と『サポート』の文字からなる『ネットワークサポート』の語について、コンピューターネットワークシステムの障害箇所や問題点を解決するサポートサービス、コンピューターネットワークの構築やトラブルなど情報システムの幅広い問題に対応するサポートサービス等の意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。...本願商標を構成する文字のうち、『おまかせ』と『サポート』の文字からなる『おまかせサポート』の語については、顧客のコンピューターネットワーク接続等を遠隔(リモート)サポートや出張サポートにより解決するサポートサービス、サポートスタッフが顧客のパソコンを直接操作して問題解決するインターネットを通した遠隔サポートサービス(乙14)、操作方法の問い合わせ対応、障害発生の原因究明・対処、その他付随する相談等のサービス、コンピューターネットワークにおける顧客の困りごとにワンストップで対応するサービスなど、コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など、顧客が自分で判断・選択せず、他人にまかせてサポートしてもらうサービスの意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。(本願商標の)デザインは、ごく普通に用いられる一般的な表現方法であって、特殊な態様で表示されているものというほどの特徴はない。...したがって、本願商標の態様は、普通に用いられる形態であるということができる。認定した事実によれば、本願商標を構成する『ネットワークおまかせサポート』の語は、本件審決当時、『ワークに関する相談や接続設定の代行など、顧客が自分で判断・選択せず、他人にまかせてサポートしてもらうサービス』程の意味合いを有する語として、本件指定役務のうち『コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守』に係る事業の取引者、需要者によって一般に認識されるものであったことが認められる。したがって、本件審決当時、本願商標は、本件指定役務のうち『コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守』の役務に使用されたときは、『コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など、顧客が自分で判断・選択せず、他人にまかせてサポートしてもらうサービス』といった役務の質(内容)を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものであって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったと認められるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務の識別力を欠くものというべきである。そして、本願商標は、...『ネットワークおまかせサポート』の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるということができる。以上によれば、本願商標は、商標法3条1項3号に該当するものと認められる。」として、本件審決は相当であって、原告主張の取消事由は理由がないとして原告の請求を棄却しました。

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