国際自由学園事件(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決)

本件は著名な略称について最高裁が判断した事例です。
X(原告・上告人)は、「学校法人自由学園」の名称で一貫教育校を運営しており、その略称として「自由学園」を使用しています。Y(被告・被上告人)は、ビジネス専修学校「国際自由学園」なを経営する学校法人で、Yは「国際自由学園」なる商標(以下「本件商標」という)について、平成8年4月26日に指定役務を「技芸・スポーツ又は知識の教授、研究用教材に関する情報の提供及びその仲介、セミナーの企画・運営又は開催」として商標登録出願し、平成10年6月5日に設定登録を受けました。
Xは、平成15年6月2日、本件商標は、Xの名称の著名な略称である「自由学園」を含む為商標法4条1項8号に該当する等と主張して、本件商標登録の無効審判を請求しました。特許庁は平成16年3月15日、審判請求を不成立とする審決をした為、Xは審決取消訴訟を提起しました。原判決では、「自由学園」は需要者である学生との関係において著名な略称にあたるとは認められないとしてXの請求を棄却した為、Xはこれを不服として上告をしました。

最高裁は、「8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても、一般に氏名、名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には、本人の氏名、名称と同様に保護に値すると考えられる。そうすると、人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」として、原判決を破棄し、知財高裁へ差戻しました。

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