オルトリリー事件(平成25年(行ケ)第10122号 審決取消請求事件)

原告はネット通販を営む会社で、「オルトリリー」(標準文字)について第20類の枕等を指定商品として出願しましたが、イタリアのファベ社が枕等について本願の出願前から使用している商標「Ortolily」(引用商標1)及び「オルトリリー」(引用商標2)を引用商標として4条1項10号で拒絶審決となったため、審決取消訴訟を提起したものです。

知財高裁は、本願商標出願日前の周知性については「【1】引用商標2を付して電磁的方法により広告が提供されていたファベ社製の枕は、本願商標出願日前から、相当数のウェブサイトで高い人気を得た売れ筋商品として取り上げられていたことが認められ、これによれば、引用商標2は、これらウェブサイトを通じて多数の需要者の目に触れられたものと推認され、また、【2】引用商標1を付された同枕は(乙1、2)、原告以外の大手通販業者内で販売される寝具類の中での販売ランキングで上位を占め多数の者がこれを購入したものと認められ、これによれば、引用商標1は直接多数の需要者の目に触れられたものと推認される。したがって、引用商標は、遅くとも本願商標出願日までにはファベ社製の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていた商標であると認めるのが相当である。」と判事し、本願商標出願日後の周知性については、「ひとたび周知性を得た商標は、短期間のうちにその周知性を喪失することはないのが通常であるところ、上記(1)ウのとおり、引用商標を付されたファベ社製の枕は、本願商標出願日後も相当数のウェブサイトで高い人気を得た売れ筋商品として取り上げられ続け、また、大手通販業者内で販売される寝具類の中での販売ランキングでも上位を占めている。したがって、引用商標は、現在においてもファベ社製の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。」と判事し、原告の主張を退けました。

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