サンローラン事件 平成27年12月10日知財高裁判決

被告は、指定商品を第3類「人造じゃ香、その他の香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。)、吸香、におい袋、香水、その他の香水類、フケ取り香水、香油、髪膏、おしろい、化粧下」とするカタカナ文字を書してなる商標「サンローラン」(以下、「本件商標」とする。)について、商標権を有しています。

原告は、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないとして特許庁に対し商標法50条1項に基づき不使用取消審判を請求しました。特許庁は本件を、取消2013-301103号事件として審理しました。

特許庁は、売上伝票、払込取扱票及び美容室の代表者の購入確認書等から使用が認められるとして「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしました。原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「被告が、平成25年11月25日、ローナ美容室に対して販売した『商品コード/品名:オーデトワレ(フローラルグリーン)』の商品パッケージは、ローナ美容室の代表者であるA作成・提出に係る購入確認書記載の写真に掲載されたものであって、商品パッケージの裏面には『サンローラン』の表示がされていることが認められる。そして、同表示は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。また、商品である『オーデトワレ(フローラルグリーン)』は、香水の範ちゅうに属するものと認められる。...(被告の)各行為は、商標法2条3項2号の『商品の包装に標章を付したものを譲渡し』に当たるというべきである。」として、被告は本件商標と社会通念上同一と認められる商標使用しているとしました。
原告は、被告が提出した証拠は、被告との関係性の強い取引先の代表者の購入確認書であり、「極めて主観的で証拠価値の認められない、いつでも容易に準備作成可能な証拠」であり、客観性を欠くとの主張をおこなっていますが、これに対して知財高裁は、「被告取引先の各代表者の作成・提出に係る購入確認書(乙13、14)は、その体裁、内容及び作成名義等について、特段、疑義を生じさせるものではなく、同購入確認書の記載内容に従って事実認定をすることができないとする根拠はない。原告は、上記購入確認書について、その信用性を疑わせるに足りる具体的事実を何ら主張立証しないのであって、その証明力を弾劾する主張立証活動も行うことなく、被告取引先の各代表者が作成・提出したものであり、容易に準備作成可能な証拠であるとの理由だけで、同購入確認書を、極めて主観的で証拠価値の認められないものであると主張するものにすぎない。」として原告の主張を退けました。

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