無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利(第33条)

 本条は、過誤により商標登録された商標が無効審判で無効になった場合の保護規定です。
 無効理由があるにも関わらず商標が過誤登録され、そのことを商標権者も知らずに登録された商標を使用し、使用の結果、周知性を獲得した場合は、商標権者が企業努力によって獲得した信頼を破壊するのは、酷ではないかとの見地から、その蓄積された信用を保護しましょうというものです。
 この第33条の規定は、中用権と呼ばれたりもしています。
 この第33条の権利は、業務とともにする承継も認められています。
 また無効にされた商標権に対して、専用使用権者、対抗要件をもっている通常使用権者がいた場合は、これらの者についても中用権を認めています(第33条第1項第3号)。
 中用権については、第32条、第32条の2の先使用権と異なり、当該商標権者、専用使用権者は、対価の要求ができます。先使用権は既得権の保護ですが、中用権は、本来無権利者になる者を救済する規定ですので、対価の請求をできるようになっています(第33条第2項)。
 また当該商標権者、専用使用権者は、中用権者に対して混同防止表示請求をすることができます。

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