LPガス顧客名簿事件 知財高裁平成23年6月30日判決

本件の控訴人(原告)は、プロパンガス(以下「LPガス」という。)、石炭、木炭、薪その他一般燃料及び燃料器具の販売等を営む株式会社です。被控訴人(被告)は、液化石油ガス、石油製品の製造及び販売、石油製品の配送業等を営む株式会社である。控訴人は、被控訴人からLPガスを仕入れており、控訴人の顧客名簿を交付した上でLPガスの配送についても委託していました。その後、控訴人と被控訴人の契約は終了しました。被控訴人は、控訴人との契約終了後に、控訴人との契約に基づいてLPガスを供給していた控訴人の顧客に対し、被控訴人との間でLPガス供給契約を締結することを求める営業活動(以下「本件営業活動」という。)を行い、控訴人の顧客約680軒を被控訴人の顧客として獲得した。控訴人は、被控訴人の行為は、不正競争防止法2条1項7号に該当するとして、本件訴訟を起こしました。
知財高裁は、「本件契約において、『一般消費者等の秘密を他に洩らしてはならない。』旨の守秘義務条項が定められていたとしても、控訴人の顧客名簿について、控訴人及び被控訴人のいずれにおいても、営業秘密である旨が明示され、閲覧することができる者が制限されるなどの厳格な管理がされておらず、また、控訴人から被控訴人に対して、秘密として管理するように具体的に指示されたものではない以上、控訴人の顧客名簿について秘密管理性が認められないことは明らかである。したがって、控訴人の顧客名簿は、不正競争防止法における営業秘密に該当するものではないから、被控訴人が控訴人の顧客に対して行った本件営業活動に際して控訴人の顧客名簿が使用されたことがあったとしても、同法2条1項7号の営業秘密の不正使用に該当するものということはできない。」と判断しました。

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