信用毀損行為

 信用毀損行為については、不正競争防止法第2条第1項第15号で不正競争行為として規定されています。
 競業他社の信用を毀損するような虚偽事実を流布することを放置すれば、虚偽の事実を流布された者は営業上の信用を害され、不利な立場に置かれることになり、競業秩序を乱すことになりますので、本号で禁止されているのです。
 本号の適用には、競争関係があることが必要です。ここでいう「競争関係」とは、「双方の営業につき,その需要者又は取引者を共通にする可能性があること」をいいます(逐条解説 不正競争防止法 - 平成27年改正版 -)。
 また、信用を害されている「他人」が誰であるかが、特定されている必要があります。この「他人」については、明示されていなくても告知内容及び業界内での周知情報から誰であるか取引者がこの「他人」が誰であるかを特定できるのであれば、それで足りるとされています。
 ここでいう「虚偽の事実」とは、客観的真実に反する事実のことをいいます。
 ここでいう「告知」とは、自己の関知する事実を、特定の人に対して個別的に伝達する行為をいい、例えば、競業他社の商品は粗悪品で、すぐ故障する等と伝えるような行為が該当します。
 ここでいう「流布」とは、事実を不特定の人又は多数の人に対して知られるような態様において広める行為をいい、例えば業界誌等に競業者の商品を誹謗する記事を掲載するような行為を指します。
 尚、特許権等の知的財産権の権利侵害において、権利侵害の事実や訴訟提起の事実の告知を相手方の取引先に対して行うことは、正当な訴訟活動行為の一環であると認められる場合は、違法性は阻却されるとされていますが、権利が有効でないのが明白なのにこのような告知をした場合は、本号に該当する可能性があります。
 又、本号が規定する信用毀損行為については、当事者間の民事的請求に委ねられており、刑事罰の対象とはされていません。

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