テレビまんが事件 東京地裁昭和55年7月11日判決

原告は、「テレビマンガ」の登録商標を持っています。被告は、カルタの容器に「テレビまんが\一休さん」の表示をして販売しています。原告は、被告の行為は商標権の侵害行為に該当するとして、差止請求等を行いました。

東京地裁は、「同法(商標法)における商標の保護は、商標が自他商品の識別標識としての機能を果たすのを妨げる行為を排除し、その本来の機能を発揮できるよう確保することにあると解すべきである。さすれば、登録商標と同一又は類似の商標を商品について使用する第三者に対し、商標権者がその使用の差止等を請求しうるためには、右第三者の使用する商標が単に形式的に商品等に表されているだけでは足らず、それが、自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられていることを要するというべきである。すなわち、登録商標と同一又は類似の商標が商品について使用されている場合、それが自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で使用されているときは、商標権者は、自己の登録商標の本来の機能の発揮を妨げるものとしてその使用を禁止しうるけれども、それが自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で使用されていると認められないときは、その商標の使用は本来の商標としての使用ということができず、商標権者は、自己の登録商標の本来の機能の発揮を妨げられないがゆえに、その商標の使用を禁止することができないのである。。...『テレビまんが』、『テレビ・マンガ』、『テレビ漫画』なる語は、テレビ放送用に製作された漫画映画を意味するものとして、本件登録商標についての商標登録出願前から普通に用いられているものであり、現在も同様であることが認められ、右認定を覆すに足る証拠はなく、また、成立に争いがない乙第九号証及び証人【A】の証言、本件口頭弁論の全趣旨によれば、昭和五〇年一〇月から少なくとも本件口頭弁論終結時まで、訴外東映動画株式会社が周知の昔話『一休さん』を基礎に登場人物及び話の筋に創作をも折込んで製作したテレビ漫画映画『一休さん』が、毎週一回、日本教育テレビ(現テレビ朝日)系列の全国ネツトでテレビ放送されていること(被告が本件カルタを販売したのは、右東映動画株式会社から、右テレビ漫画映画についてのいわゆる商品化権の実施許諾を受けたことに基づくものであること)が認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。」として、被告標章の使用は、商標的使用態様に該当しないので非侵害であるとしました。

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