GENESIS事件 知財高裁平成23年11月30日判決

原告は、第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とする「GENESIS」の欧文字を横書きしてなる登録第1689805号の2商標(以下「本件商標」という)の商標権者です。
被告は特許庁に対し商標法50条1項の不使用取消審判により、本件商標の指定商品中、第9類全指定商品についての登録を取り消すことを求めました。特許庁は、「『GENESIS』の標章は、ファクシミリに搭載する画像処理技術の説明文中及びその欄外に大きく表示されてはいるが、『ファクシミリ』を識別するための表示とはいえず、当該ファクシミリに搭載された機能の一である画像処理技術の名称としての使用であるから、原告の主張に係る『プリンター機能(コピー機能)搭載のファクシミリ』についての使用とはいえない」として、被告の請求を認め、商標登録を取り消しました。
原告はこれを不服として、本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「『GENESIS』の表示は、原告の製造、販売に係る『ファクシミリ』に関する説明用のカタログやウエブサイト等に記載されていること、『GENESIS』の表示の態様は、文章の各文字よりも、大きく、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように記載されていること、すべて同一の字体が使用されていること、ウエブサイトの『GENESIS』の項目には、『対応機種:キヤノフアクスL380S、L230、L2800』と表記されて、ファクシミリとの関連性が明確に示されていること等に照らすならば、カタログやウエブサイト等の『GENESIS』の表記に接した需要者、取引者は、『GENESIS』の表記を、原告の製造、販売に係る『ファクシミリ』に関する標章であると認識、理解するものといえる。確かに、前記商品カタログ等の説明文には、『GENESIS』について、原告の独自に開発した画像処理技術を指す旨の記載がある。しかし、原告の製造、販売に係るファクシミリに用いられている『原告の独自に開発した画像処理技術』が、どのような技術を指すかについての詳細の説明は格別されていないこと、前記商品カタログ等は、画像処理技術の販売等に係る配布物等ではなく、ファクシミリの販売等に係る配布物等であることに照らすならば、そのような説明は、原告の製造、販売に係る『ファクシミリ』が、いかに性能が高く、品質等が優位性を有しているかを強調するために用いられた、ごく一般的な広告手法であるといえる。したがって、そのような説明がされているからといって、取引者、需要者が、『GENESIS』の標章について、原告の開発した画像処理技術について使用されていると理解、認識すると解することは困難であり、むしろ、原告の製造、販売する『ファクシミリ』の広告などに、同商品の出所を示す趣旨で使用されているものと理解、認識すると解するのが自然であり、合理的である。」として審決を取消しました。

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