新型ビタミンC事件 知財高裁平成26年10月22日判決

原告は指定商品を第5類「サプリメント」とする標準文字商標「新型ビタミンC」(以下、「本願商標」とする。)について商標登録出願を行いましたが、3条1項6号に該当するとして拒絶査定(以下、「本件査定」とする。)を受けました。原告は拒絶査定不服審判を請求しましたが、今度は3条1項3号に該当するとして審判請求は不成立となりました。
原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本願商標は、『新型ビタミンC』の文字を標準文字で横書きに表してなるものであり、『新型』の文字と『ビタミンC』の文字とを組み合わせた構成からなることは明らかである。そして、『新型』(従来のものとはかわって、新しく考案された型や形式。)も『ビタミンC』(人体に不可欠な微量栄養素であるビタミンの一種でCと名付けられており、水溶性で、新鮮な野菜・果実・緑茶などに多く含まれるもの。)も一般に広く知られている平易な語であり、『新型ビタミンC』の文字は、『従来のものとはかわって、新しく考案された型のビタミンC』程度の意味合いを表す複合語として容易に認識されるものである。そうすると、本願商標を、その指定商品である『サプリメント』に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、『従来のものとは違う新しく考案されたビタミンCを主成分としたサプリメント』であると理解し、当該商品の品質を表したものとして認識するといえる。したがって、本願商標は、その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもの(本願商標は標準文字で構成される。)であるから、商標法3条1項3号に該当する。...原告の主張は、本件査定において拒絶理由として挙げた商標法3条1項6号とは異なって、審決において同項3号に該当すると判断するのであれば、同号に基づく拒絶理由通知をする必要があるので、それをしなかった審決には、商標法55条の2第1項で準用する同法15条の2に違反する瑕疵があるとの趣旨と解される。(なお、商標法3条1項6号に該当する場合と同項1~5号に該当する場合とで、その適用に択一的な排斥関係はないから、同項6号に該当すると判断することが、同項3号には該当しないとの判断を前提とするものでなく、この点に係る原告の主張は、失当である。)。本件査定と審決は、いずれも、本願商標から『新タイプのビタミンC』との認識が生じることを前提として、これを指定商品に使用しても出所表示機能を有するものではなく、商標法3条1項所定の商標登録の要件を欠く商標に該当するという共通の結論を示したものといえる。両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではなく、その審理対象も、『新タイプのビタミンC』の意義という同一のものであって(そして、原告は、実際に、本件における主張と同旨の意見書を提出している。)、審決が、実質的に新たな拒絶理由を示したものということはできない。したがって、審決に、『拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。』とする商標法55条の2第1項で準用する同法15条の2に違反するところはなく、原告の上記主張は、採用することができない。」として原告の請求を棄却しました。

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