LADY GAGA事件 知財高裁平成25年12月17日判決

原告は、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第25類及び第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とする「LADY GAGA」の文字を標準文字で表してなる商標を出願しましたが、拒絶理由通知を受けたので、第9類「レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、映写フィルム、録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品とする本願商標について分割出願しました。しかし、本願商標も拒絶査定を受けたので原告はこれを不服として拒絶査定不服審判を請求しましたが、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がなされたため、原告は本件審決取消訴訟を提起しました。
本件訴訟の争点は3つで、知財高裁は以下のように判断しています。

取消事由【1】(本願商標の自他商品の識別力を認定するに当たり、具体的な使用態様を限定して判断を行ったことの誤り)について知財高裁は、「審決は、本願商標を、本件商品である『レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、録画済みビデオディスク及びビデオテープ』に使用した場合に、取引者・需要者が、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、映像に出演し、歌唱している者を表示したものと認識することを理由として、本願商標の商標法3条1項3号及び4条1項16号該当性を判断したものであるところ、上記の認識は、本件商品の媒体表面やジャケットにおける一般的表示に基づいて認定されたものであり、特定の表示方法を前提としたわけではないから、具体的な使用態様を限定して判断を行ったものとは認められない。」として取消事由【1】には理由がないとの判断を示しました。

取消理由【2】(本願商標の自他商品識別力の有無に関する判断の誤り)について知財高裁は、「本願商標の指定商品中、本件商品である『レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、録画済みビデオディスク及びビデオテープ』においては、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、又は映像に出演し歌唱している者が誰であるかは、当該商品の主要な品質(内容)に該当するから、原告の主張には理由がない。...原告は、歌手名を表す文字からなる商標であっても、直ちに『レコード』等の商品との関係で特定の品質を表すことがないので、登録を認めても差支えがないと主張して、過去の登録例を挙げる。しかし、本件商品においては、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、又は映像に出演し歌唱している者が誰であるかは、当該商品の主要な品質(内容)に該当することは、上記に判示したとおりであり、本件商品のうち『LADY GAGA』(レディ(ー)・ガガ)が歌唱しないものに本願商標を使用した場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあることは、上記に判示したとおりである。このことは、原告の指摘する登録例の存在によって左右されるものではない。」として原告の主張には理由がないと判断しました。

取消理由【3】(本願商標のような歌手名等が現実に自他商品の識別標識として機能している事実を看過したことの認定の誤り)について知財高裁は、「本件商品の取引においては、販売元・発売元であるレコード会社・音楽レーベルの名称・ロゴを目印として商品が選択されるより、歌手名・音楽グループ名それ自体を目印として商品が選択されることが一般的であると認められ、このことは当事者間にも争いがない。これは、前記のとおり、本件商品の性質上、その取引者・需要者が、当該商品に係る収録曲を歌唱・演奏する者又は映像に出演し歌唱・演奏する者に最も注目し、これを当該商品の品質(内容)と認識するためであると認められる。取引される商品によっては、人の名称やグループ名が当該商品に表示された場合に出所表示機能を有することは否定できないが、本件商品については、商品に表示された人の名称やグループ名を、取引者・需要者が商品の品質(内容)とまず認識するものといわなければならない。そして、表示された人の名称やグループ名が、著名な歌手名・音楽グループ名である場合には、取引者・需要者は、これを商品の品質(内容)とのみ認識し、それとは別に、当該商品の出所を表示したものと理解することは通常困難であると認められる。」として原告の主張には理由がないとしました。

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