SMAPに関する商標などについて

まず商標についてですが、こちらの登録状況については、「J-PlatPat特許情報プラットホーム」で確認する事ができます。

こちらで確認すると、権利者「株式会社ジャニ-ズ事務所」で登録されているものは48件あり、そのうち6件が「SMAP」に関する商標になっています。具体的には、登録2286334号、登録2297874号、登録2340431号、登録3047285号、登録5387025号、登録5389940号の6件です。

指定商品・指定役務について確認すると、コンサートグッズでよくありそうなものなどが登録されていますので、事務所を移籍した場合、これらの指定商品・指定役務と同一又は類似する商品・役務については、「SMAP」という商標は使用できないということになります。

使用許諾や商標権の譲渡を受けることができれば使用できますが、このような契約上のトラブルで移籍となった場合は、使用許諾等を受けるのはかなり困難で実現が難しいと思われます。

商標権の登録内容の詳細について知りたい方は、J-PlatPat特許情報プラットホームでヤフー検索等をすれば、J-PlatPat特許情報プラットホームのトップページにたどりつけるかと思います。トップページの上部に、濃紺色のバーの中に白抜きで「商標」と記載されているところがあるので、そこにカーソルをもっていくと、「1.商標番号照会、2.商標出願・登録情報...」などと15種類の検索方法が出てきます。その中から「2.商標出願・登録情報」を選択、検索項目の中から「出願人/書換申請者/権利者/名義人」を選択し、「株式会社ジャニ-ズ事務所」と入力すればデータが抽出できます。データを見てみると既に活動休止している「光GENJI」(1995年)や「忍者」(1997年)などの商標権もまだ維持されています。3年以上商標が不使用な場合は、商標法50条の不使用取消審判が請求できるので、これらの商標が今でも使用されているのかは気になるところです。

登録されている指定商品・指定役務の中で気になったのは、登録2286334号「SMAP」において、指定商品として「レコード」が登録されていることです。平成25年12月17日知財高裁判決の「LADY GAGA事件」で、知財高裁が、「本願商標(LADY GAGA)を、その指定商品中、本件商品である『レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に使用した場合,これに接する取引者・需要者は,当該商品に係る収録曲を歌唱する者,又は映像に出演し歌唱している者を表示したもの、すなわち,その商品の品質(内容)を表示したものと認識するから,本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。」として商標法3条1項3号に該当するので登録できないとの判断をしているのをはじめとして、周知・著名な歌手名、グループ名について出願された場合は、品質等表示として取り扱われ、商標法3条1項3号で拒絶するという運用がされているからです。

登録2286334号「SMAP」の登録情報を確認すると、昭和63年(1988)10月7日出願、平成2年(1990)11月30日登録で、それに対してSMAPのCDデビューは、「1991年9月9日」ですから、登録査定時には「SMAP」は、周知・著名なグループではなかったので登録されているわけです。

このように歌手名、グループ名については、周知・著名に至る前に商標を出願・登録しておくことが望ましいのですが、上述の「LADY GAGA事件」判決を受けて、周知・著名であるがゆえに、品質等表示に該当し、登録が認められないというのはいかがなものかという声もあり、現在商標審査基準ワーキンググループにおいて商標法3条1項3号の運用見直しもテーマとなっているようです。

知財の世界にいる人間が「SMAP」と聞いて思い出すものと言えば、「SMAPインタビュー事件」東京地裁平成10年10月29日判決があります。本件被告は、「SMAP大研究」という本の中で、「SMAP」のインタビュー記事を無断で改変し、転載していたため、インタビュー記事を出版している出版社といわゆるアイドルグループ「SMAP」(当時は6人でした。)のメンバーが訴えたというものです。

本件は、地裁の判決ですが共同著作物に該当するかについての興味深い判断がされた判決として知られています。本件訴訟においては、原告側は本件インタビュー記事は、出版社とSMAPの各メンバーの共同著作物であるとの主張をしていますが、それに対して東京地裁は以下のような判断をしています。

「インタビュー等の口述を基に作成された雑誌記事等の文書については、文書作成への関与の態様及び程度により、口述者が、文書の執筆者とともに共同著作者となる場合、当該文書を二次的著作物とする原著作物の著作者であると解すべき場合、文書作成のための素材を提供したにすぎず著作者とはいえない場合などがあると考えられる。すなわち、口述した言葉を逐語的にそのまま文書化した場合や、口述内容に基づいて作成された原稿を口述者が閲読し表現を加除訂正して文書を完成させた場合など、文書としての表現の作成に口述者が創作的に関与したといえる場合には、口述者が単独又は文書執筆者と共同で当該文書の著作者になるものと解すべきである。これに対し、あらかじめ用意された質問に口述者が回答した内容が執筆者側の企画、方針等に応じて取捨選択され、執筆者により更に表現上の加除訂正等が加えられて文書が作成され、その過程において口述者が手を加えていない場合には、口述者は、文書表現の作成に創作的に関与したということはできず、単に文書作成のための素材を提供したにとどまるものであるから、文書の著作者とはならないと解すべきである。」

本件については、SMAPのメンバーは出版社の企画にそって記事を作成するために素材を提供したにすぎないとして、著作者として認められませんでした。尚、出版社に対する著作権侵害は認められています。

1月18日付の会見で一応の決着をつけたSMAPの解散問題、今後どうなるのか注意深く見守っていきたいです。

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