技術的制限手段無効化装置等の提供行為

 技術的制限手段に対する不正行為は、不正競争防止法第2条第1項第11号、第12号で規定されています。
 不正競争防止法における「技術的制限手段」の定義については、第2条第7項で、「電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう」とされています。
 コンテンツ提供事業者は、コンテンツを利用する人から利用料金等を得ることによってビジネスをしているので、無断コピーや無断アクセスができないようにコピー管理技術、アクセス管理技術を用いています。しかしながら、これらを無効化してコンテンツを利用しようとする者がいます。もちろんコンテンツ提供事業者も管理技術の高度化をしていますが、無効化技術のほうも進歩しており、鼬ごっこ状態です。
 このような状況を踏まえて、コンテンツ提供事業者の競争秩序を維持するという観点から、平成11年改正で、技術的制限手段に対する不正行為を不正競争の一類型として規制することになりました。
 しかしながら、その後も技術的制限手段に関する不正行為は、後を絶たなかったため、平成23年改正において強化されました。
 11号は、「営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置若しくは当該機能を有するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為」を禁止するものです。
 11号の対象となるのは、記録媒体や視聴機器の購入者、所持者の全員が対象となるような技術的制限手段が施されたもので、具体的には、映画のBDやDVD等の記録媒体にコンテンツとともに制御用の信号を組み込んでコピーできないようにしたものや、特定のゲーム機本体と組み合わせないと実行できない信号を組み込んだゲームソフトに対して、これらの技術効果を無効化するキャンセラー等を販売するような行為です。
 12号は、「他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録をさせないために 営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置若しくは当該機能を有するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に 譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為」を禁止するものです。
 12号の対象となるのは、営業上の利益を確保することを目的として、音楽、映像等のコンテンツ提供事業者が、契約の相手方または契約により特定された者以外の者によるコンテンツの視聴、記録を制限するために「技術的制限手段」を用いている場合に、その技術的制限手段の「効果を妨げる」機能を有する装置等を譲渡等する行為です。
 具体的には、有料の衛星放送やケーブルテレビ等で契約者以外の者がスクランブルを解除できないような暗号を施している場合に、この技術効果を無効にする解除装置を販売等する行為が該当します。

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