大阪地裁平成27年11月5日判決「三井住友事件」

原告は、日本を代表するメガバンクの一つで、三井住友グループの中核的企業である株式会社三井住友銀行です。

被告は、三井住友グループの承認を受けていないにもかかわらず、自らを「三井住友グループ」の一員であるとしてウェブページ等に掲載しているので、原告は被告の行為は、不正競争防止法2条1項1号、2条1項2号に該当するとして「三井住友」にかかる表示の使用の差止を請求しました。

大阪地裁は、「被告は、適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなす。以上の争いのない事実によれば、『三井住友』との営業表示が原告及びその企業グループを示すものとして著名であること、被告が、別紙『表示目録』記載のとおり、自己の営業表示として『三井住友』との営業表示と同一のものを使用していることが認められるから、被告の行為は、不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争行為に該当する。 そうすると、被告の行為によって原告の営業上の利益が侵害されていると認められるから、原告の被告に対する同法3条1項、2項に基づく請求は理由がある。」として、被告に対し、「三井住友」の文字を含む企業集団に属する旨の表示及び三井住友グループメンバー企業として認可されている旨の表示をしてはならないとの判決を下しました。

大阪地裁平成27年11月5日判決 「UCC事件」

原告は、コーヒー関連事業等を行うUCCグループを構成する各会社の株式等を保有して当該会社の事業活動の支配、管理業務等を目的とする株式会社で、第39類「車両による輸送等」について「UCC」のロゴマーク商標を有しています。

一方、被告の株式会社ユー・シー・シーは、一般貨物自動車運送事業等を目的とし、主にバイクによる荷物の輸送・配送を業務とする株式会社です。

被告は、平成27年1月30日に「株式会社ユー・シー・シー」(以下、「被告商号」という。)なる商号で、一般貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業等を目的として設立され、その旨の設立登記が大阪法務局同日付けでなされていて、そして、被告商号をインターネット上のウェブサイト(URL:http://www.ucc-bike.com/)その他において、バイク便(バイクによる荷物の輸送・配達)を業務とする自己の商号として使用しています。

原告は、被告の行為は不正競争防止法2条1項2号に該当するとして、被告標章の差止請求及び被告商号登記の抹消登記手続を求めて本件訴訟を提起しました。

大阪地裁は、「被告は、適式な呼び出しを受けながら、口頭弁論期日に出頭せず、何ら準備 書面を提出しないから、請求原因...の各事実を自白したものとみなす。...被告商号『株式会社ユー・シー・シー』は、会社の種類を区別する『株式会社』を除いた『ユー・シー・シー』部分が識別力を有する要部となるが、当該 要部『ユー・シー・シー』と、原告のUCC商号は、いずれも称呼が『ユーシーシー』であり、同一である。また、いずれも、特別な観念は生じない。したがって、被告商号『株式会社ユー・シー・シー』と原告のUCC商号とは、類似している。...被告標章は、いずれも本件商標と称呼が同一であり、特別な観念が生じない点も共通する。したがって、被告標章1ないし3は、いずれも本件商標と類似している。また、被告役務であるバイク便(バイクによる荷物の輸送・配達)は、本件商標の第39類の指定役務「車両による輸送等」に該当し、又は、類似しているから、被告の役務は、本件商標の指定役務と同一又は類似である。以上によれば、原告の被告に対する請求はすべて理由がある。」として、被告各標章の使用の差止及び商号の抹消登記手続の請求が認容されました。

くしゃっと水切りざる事件 大阪地裁平成23年10月3日判決

原告は、「くしゃっと水切りざる」という商品名でシリコン素材のざるを販売しています。一方、被告らは「なんでもござる」という商品名でシリコン素材のザルを販売しています。
原告は、被告の行為は不正競争防止法の2条1項1号又は2条1項3号に該当するとして本件訴訟を起こしました。大阪地裁は、2条1項1号と2条1項3号該当性について以下のように判断しました。

【1】2条1項1号に該当するか
大阪地裁は、「原告商品は、ざるとしての機能に加え、柔軟性があり、変形させることができるという機能もあり、これにより従来のざるにはない用途に用いることができるというものである。そうすると、柔軟性があり、変形させることができるという形態的特徴は、原告商品の機能そのもの又は機能を達成するための構成に由来する形態であり、...商品の実質的機能を達成するための構成に由来する形態として、法2条1項1号の商品等表示には当たらないというべきである。具体的にみると、基本的形態として原告が主張する構成は、いずれも、柔軟性を持たせるための構成若しくは柔軟性があるという機能それ自体又はざるとしての機能を発揮させるための構成であり、商品の実質的機能を達成するための構成に由来する形態であるというほかない。また、使用時形態も、柔軟性があり、変形させることができるという機能の結果生じる形態であり、これも商品の実質的機能を達成するための構成に由来する形態、結果である。」として2条1項1号には該当しないとの判断を示しました。
【2】2条1項3号に該当するか
大阪地裁は、「法2条4項によれば、『商品の形態』とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。...原告商品の使用時形態それ自体が、法2条4項により保護される商品の形態(形状)であるかはおいても、使用時形態のように変形自在であるという原告商品の特性は、少なくとも需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる質感等に反映されることは明らかであり、法2条1項3号により保護されるべき商品の形態として十分に考慮されるべきものである。被告らが主張する上記各書証に記載されたざる等のうち、乙2に記載されたシラスティック製水切りボールはシリコンゴム材料を素材とするものであるが、取っ手部分があり、ざるの部分にもリムがないなど、原告商品の形態と大きく異なるものである。乙3に記載された合成樹脂製ざるについても、二個のざる体をセットにしたものであり、原告商品のように変形自在にしたものでもなく、質感についても大きく異なる。...他に、原告商品と同様に変形自在であって、しかも原告商品と同一の形態の先行商品が存在することを認めるに足りる証拠はない。...被告らは、原告商品の形態は、シリコン素材を使用したという技術的構成から必然的に由来するものであり、商品の機能を発揮するために不可欠な形態であるとも主張する。しかしながら、ざるの素材を変形自在なものにしたとしても、ざるとしての基本的形態だけを取っても、材質の選択、肉厚幅、底面突起の数、底面突起の有無及び数、表面上の穴の大きさ及び数など、その形態選択には無数の選択肢があることからすれば、原告商品の形態を全体として評価したときに、それが商品の機能を発揮するために不可欠な形態のものであるということはできない。」として2条1項3号に該当するとの判断を示しました。

原価セール事件 東京高裁平成16年9月29日判決

控訴人は、医薬品等の製造販売等を業とする株式会社です。被控訴人は、ドラッグストア等の店舗において、医薬品、化粧品等の販売を行うこと等を業とする株式会社です。被控訴人は、奈良県、広島県等に所在するドラッグストアにおいて、販売チラシに控訴人商品についてその仕入価格と「定価」を併記して比較した販売チラシを用い、「原価セール」と題して、仕入価格で控訴人商品を消費者に販売していました(以下、上記の行為を「原価セール」という)。控訴人は、仕入価格は営業秘密であり、被控訴人が仕入価格を開示した「原価セール」は不正競争防止法2条1項7号に該当するとして、損害賠償請求等を行いました。
東京高裁は、「不正競争防止法2条1項7号は、『営業秘密を保有する事業者(保有者)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為』を『不正競争』であるとするものである。すなわち、同規定は、営業秘密を保有者から『示された』者が、不正競業などの目的をもって、その営業秘密を不正に開示するなどの行為を対象とするものである。そこで、検討するに、被控訴人は、控訴人商品に関する被控訴人ダイコクと控訴人との間における売買代金額(仕入価格)という情報を『示された』ものではないのであるから、これを一般消費者に開示しても、不正競争防止法2条1項7号が対象とする行為には該当しないことが明らかである。」として価格の開示行為は、不正競争防止法2条1項7号所定の不正競争行為には該当しないと判断しました。

LPガス顧客名簿事件 知財高裁平成23年6月30日判決

本件の控訴人(原告)は、プロパンガス(以下「LPガス」という。)、石炭、木炭、薪その他一般燃料及び燃料器具の販売等を営む株式会社です。被控訴人(被告)は、液化石油ガス、石油製品の製造及び販売、石油製品の配送業等を営む株式会社である。控訴人は、被控訴人からLPガスを仕入れており、控訴人の顧客名簿を交付した上でLPガスの配送についても委託していました。その後、控訴人と被控訴人の契約は終了しました。被控訴人は、控訴人との契約終了後に、控訴人との契約に基づいてLPガスを供給していた控訴人の顧客に対し、被控訴人との間でLPガス供給契約を締結することを求める営業活動(以下「本件営業活動」という。)を行い、控訴人の顧客約680軒を被控訴人の顧客として獲得した。控訴人は、被控訴人の行為は、不正競争防止法2条1項7号に該当するとして、本件訴訟を起こしました。
知財高裁は、「本件契約において、『一般消費者等の秘密を他に洩らしてはならない。』旨の守秘義務条項が定められていたとしても、控訴人の顧客名簿について、控訴人及び被控訴人のいずれにおいても、営業秘密である旨が明示され、閲覧することができる者が制限されるなどの厳格な管理がされておらず、また、控訴人から被控訴人に対して、秘密として管理するように具体的に指示されたものではない以上、控訴人の顧客名簿について秘密管理性が認められないことは明らかである。したがって、控訴人の顧客名簿は、不正競争防止法における営業秘密に該当するものではないから、被控訴人が控訴人の顧客に対して行った本件営業活動に際して控訴人の顧客名簿が使用されたことがあったとしても、同法2条1項7号の営業秘密の不正使用に該当するものということはできない。」と判断しました。

マグボトル事件 大阪地裁平成21年6月4日判決

原告は、魔法瓶、保温容器及びその部分品類の製造販売並びに輸出入等を業とする株式会社です。被告は、各種金属類加工修理製作販売等を業とする株式会社です。
被告は、平成20年1月頃から、ステンレス製真空マグボトルを輸入し、日本国内で販売しています。原告は、被告の行為が不正競争防止法2条1項3号の「不正競争」に当たるとして、差止及び損害賠償請求等を行いました。
大阪地裁は、「被告物件は...浙江剛自達不銹鋼制品有限公司により、遅くとも平成15年8月には中国国内において製造販売されていたものと同一のものと認められる。...他方で、原告は平成19年9月から原告物件を販売したものであり、原告従業員の陳述書によっても、原告物件のデザイン作成を開始したのは平成18年11月というのであるから、被告物件と同一である中国商品は、原告物件が日本国内において販売されるより先に中国において製造販売されていたものと認められる。...被告物件は原告物件より先に中国国内において製造販売されていたものと認められるから、被告物件が原告物件の形態に依拠して作り出されたものでないことは明らかであり、よって、被告物件が原告物件の形態を模倣した商品に該当しないこともまた明らかというべきである。」として原告の請求を棄却しました。

フットボール事件 最高裁昭和59年5月29日判決

本件の被上告人X1は米国法人でアメリカンフットボールのプロチームの名称及びシンボルマーク(以下、「本件表示」とします。)の商業的利用について管理しています。被上告人X2はX1から本件表示及びその商品化事業を許諾されたも日本法人です。
上告人Yは、本件表示が印刷されたシートで被覆したロッカーを販売していました。そこで、X1とX2は上告人に対して差止請求及び損害賠償請求などを行いました。
最高裁は、「ある営業表示が(旧法)不正競争防止法1条1項2号所定の他人の営業表示と類似のものにあたるか否かについては、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきものであることは当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和五七年(オ)第六五八号同五八年一〇月七日第二小法廷判決・民集三七巻八号登載予定)、また、ある商品表示が同項一号所定の他人の商品表示と類似のものにあたるか否かの判断についても、前示営業表示の類似判断の場合と同一の基準によるべきものと解するのが相当である。...不正競争防止法1条1項1号又は二号所定の他人には、特定の表示に関する商品化契約によつて結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含まれるものと解するのが相当であり、また、右各号所定の混同を生ぜしめる行為には、周知の他人の商品表示又は営業表示と同一又は類似のものを使用する者が、自己と右他人とを同一の商品主体又は営業主体と誤信させる行為のみならず、自己と右他人との間に同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存するものと誤信させる行為をも包含し、混同を生ぜしめる行為というためには両者間に競争関係があることを要しないと解するのが相当である。」との判断を示しました。

巻くだけダイエット事件 知財高裁平成27年1月29日判決

被控訴人Yは被控訴人T社から「折り畳んだバンド」を付録にした「お腹が凹む! 巻くだけダイエット」という題名の書籍を出版しました。控訴人Xは、Yの行為は、控訴人Xの著名な商品等表示 である「巻くだけダイエット」を冒用するものであるとして不正競争防止法2条1項2号で差止請求等を行いました。
知財高裁は、「『巻くだけダイエット』との表示は、数あるダイエット手法の中において、控訴人が提唱しているダイエットの方法を表示したもの、すなわち、控訴人の業務の内容を需要者に示しているものにすぎず、『巻くだ けダイエット』が控訴人の業務を表示するもの、すなわち控訴人の業務の出所を指し示すものとして使用されていたとはいえないというべきである。しかも、『巻くだけダイエット』が、控訴人の業務を表示するものとして、需要者の間で著名であったことも認められない。」としました。

バター飴缶事件 札幌地裁昭和51年12月8日判決

債権者は、ステンレス製牛乳缶型容器にに債権者製造のバター飴を入れ、ラベルおよび包装箱を使用して「北海道名産バター飴」と記したものを商品として、昭和四七年四月一一日以降販売しています。債務者の会社は、北海道地方で菓子類の製造、販売を業とすることを目的として昭和四八年六月一日設立され、「北海道銘菓バター飴」と記したものを商品として販売していたので、債権者は販売の差止を請求しました。

札幌地裁は、「債権者の本件商品は、殊にバター飴の容器にステンレス製牛乳缶型を使用していることにおいて、少なくとも北海道地方では広く認識されていたもの即ち周知性を有する商品表示を有していたものということができる。...債権者、債務者の両商品とも、その商品のイメージを構成する主要な部分は、バター飴の容器としてステンレス製牛乳缶型容器を使用していることであり、債権者の本件容器の胴の部分に牛と北海道の地図のマークを組合せた打出しがあることは細部の違いに過ぎず、全体的にみれば、全く同一と考えてよいのである。...本件容器、ラベル、包装箱を含めて全体として、債権者、債務者の商品表示を比較すると、この間に商品表示の類似が存し、その出所につき何らかの関係が存するのではないかと思わしめる混同の虞を生じたものというのが相当である。」との判断を示しました。

断熱ドレインホース事件 大阪地裁平成8年11月28日判決

原告は、ドレンホースを開発し、これを「結露防止用SCS断熱ドレンホース(エアコン用)」の商品名で製造販売している者です。 被告は、訴外T社が製造したドレンホースを、「断熱ドレンホースソフトタイプ」の商品名で販売しています。 原告は、被告商品は原告商品の形態を模倣したものであり、原告はこのような被告商品の販売によって営業上の利益を侵害されたと主張して、不正競争防止法2条1項3号、4条に基づき損害賠償請求を行いました。
大阪地裁は、「原告は、被告商品は原告商品の新規性ある形態をすべて備えているから、原告商品の形態を模倣したものであると主張し、その原告商品の新規性ある形態として、【1】長尺ホースである、【2】外皮部分には内部に独立した伸縮自在のパッド状筒が内蔵されている、【3】ホース芯がプラスチック製である、との三点を挙げる。そこで、まず、これらの点が不正競争防止法二条一項三号にいう『商品の形態』に当たるか否かについて検討するに、他人が商品化のために資金、労力を投下して開発した商品について、その機能面ではなく形態面における模倣をもって不正競争行為とする同号の立法趣旨及び『形態』という用語の通常の意味に照らせば、同号にいう『商品の形態』とは、商品の形状、模様、色彩、光沢等外観上認識することができるものをいうと解すべきである。したがって、商品の機能、性能を実現するための構造は、それが外観に顕れる場合には右にいう『商品の形態』になりうるが、外観に顕れない内部構造にとどまる限りは『商品の形態』に当たらないといわなければならない(このような商品の機能、性能を実現するための内部構造は、要件を具備することにより特許法、実用新案法等による保護を受けることが可能であるから、権利保護に格別欠けるところはない。)。」との判断を示しました。

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