民事上の措置 - 記事一覧

差止請求

 不正競争防止法第3条に規定されている差止請求権とは、「不正競争」によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求すること及び侵害の行為を組成した物の廃棄等を請求することを認めるものです。
 法目的を達成するためには、現在の侵害行為の停止だけでは足りず、平成5年の改正前においても、判例上、不正競争防止法の差止請求権として予防請求権及び廃棄・除却請求権が認められてきたという実情がありました。
 そこで、平成5年改正時において、予防請求権及び廃棄・除却請求権が明文化されました。
 差止請求権を行使するには、「不正競争によって営業上の利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある」ことが必要です。
 ここでいう、「営業」とは、利潤を得る目的の営利事業のみにとどまらず、利潤獲得を図らないまでも収支相償を目的とした事業を反復継続して行っている事業であれば、同様に不正行為からの保護の必要性が認められることから広く経済上その収支計算の上に立って行われるべき事業を含むとされています。
 ここでいう「利益」とは、事業者が営業上得ることができる経済的価値をいうとされています。また、「利益」は現存するものである必要があります。
 「おそれ」については、実際に利益が侵害されている必要はなく、不正競争によって利益が侵害される相当の可能性があれば足りるとされています。
 請求できるのは、「不正競争」によって「営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者」であって、一般消費者には原則として請求人適格を満たさないとされています。
 3条2項では、廃棄・除却請求権について規定しています。
 「侵害の行為を組成した物」とは、他人の商品等表示の付された看板、営業秘密が記録された物件媒体等をいいます。
 「侵害の行為により生じた物」とは、営業秘密を用いて製造された製品等をさします。
 尚、「侵害の行為を組成した物」には「侵害の行為により生じた物」も含まれるとされています。
「侵害の行為に供した設備」とは、他人の商品形態を模倣するための製造機械や営業秘密を使用するための装置等をいいます。
 「その他の侵害の停止又は予防に必要な行為」とは、将来、侵害行為を行わない保証として担保を提供させること等をいいます。

損害賠償請求

 不正競争防止法4条には、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者に対して損害賠償請求ができることが規定されています。 
 損害賠償請求については、もともと民法709条で「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されていますが、本条では、「不正競争」によって営業上の利益が侵害された場合にも損害賠償請求ができることを確認的に規定したものです。
 従いまして、本条の要件も、民法709条の要件も満たす場合は、どちらを選択しても良いとされています。
 不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求ができる期間は、差止請求権が時効又は除斥期間により消滅するまでの使用による損害に限定されていますが、本条に基づく損害賠償請求権が消滅しても、不正使用状況が民法709条の要件に該当する場合には民法に基づく請求ができます。
 また、不正競争防止法5条では、「不正競争」による営業上の利益の侵害による損害は、損害額を立証することが困難であることを考慮して、一定の「不正競争」行為類型について、逸失利益の立証容易化(5条1項)、損害額の推定(5条2項)等の規定が設けられています。

損害額の推定

 不正競争防止法第5条は、損害の額の推定等について規定しています。
 損害賠償請求が行われた場合、その損害額の立証は、被害者がするのが原則です。
 しかしながら、不正競争行為によりどの程度被害が出ているのか立証するのは困難です。
 そこで、被害者の負担軽減の観点から、不正競争防止法第5条において損害の額の推定等の規定が設けられています。
 1項は、逸失利益の立証容易化について規定したもので、侵害者が譲渡した物の数量に、被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じた額を被侵害者の損害の額とするものです。
 2項は、侵害者が侵害行為によって受けた利益を損害の額と推定することを規定しています。
 3項では、使用許諾料に相当する額を損害額として請求できる旨を規定しています。
 4項前段では、前項の規定は、使用許諾料相当額を超える損害の請求を妨げないことを、4項後段は,侵害者に故意又は重大な過失がなかったときは裁判所がこれを参酌することができることを規定しています。

関税法による水際措置

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