不服2015 - 4847「おもてなしトイレ(標準文字)」

本件は、本願商標「おもてなしトイレ(標準文字)」について、「おもてなし(標準文字)」が引用され、4条1項11号に該当するとして拒絶査定となったことに対する拒絶査定不服審判です。
特許庁の判断は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『おもてなしトイレ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、視覚上一体的に表されているものであり、また、その構成文字全体から生ずる『オモテナシトイレ』の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、本願商標の構成中の『おもてなし』の文字は、心のこもった待遇やサービスを表す語として広く使用されるものであって、施設及び住居に関する設計やデザインにおいても、より清潔で居心地の良い快適な空間の提供をうたう際に使用されている。また、その構成中の『トイレ』の文字についても一般に使用されている語であることからすると、本願商標は、構成全体として、『おもてなしの心を感じる清潔で快適なトイレ』ほどの一体の意味合いを暗示させるものであるといえる。してみれば、本願商標は、構成全体をもって一体不可分のものと把握、認識され、取引に資されるものというのが相当である。その他、本願商標の構成中の「おもてなし」の文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことはできない。」として本願商標「おもてなしトイレ(標準文字)」は、引用商標「おもてなし(標準文字)」と類似しないので4条1項11号非該当であるとの判断をしました。

不服2014 - 26608「じゃがいも力(標準文字)」

出願人は、第30類「じゃがいもを使用した菓子、じゃがいもを使用したパン、じゃがいもを使用したサンドイッチ、じゃがいもを使用した中華まんじゅう、じゃがいもを使用したハンバーガー、じゃがいもを使用したピザ、じゃがいもを使用したホットドッグ、じゃがいもを使用したミートパイ、じゃがいもを使用した調味料、じゃがいもを使用した穀物の加工品、じゃがいもを使用した即席菓子のもと(いずれも補正後の指定商品である。)」を指定商品とする本願商標「じゃがいも力(標準文字)」について商標登録出願を行いましたが、本願商標は「『じゃがいもの効能』ほどの意味合いを容易に認識させるものである」として商標法3条1項3号に該当するとして拒絶査定を受けました。本願商標の出願人はこれを不服として拒絶査定不服審判を請求しました。特許庁の判断は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『じゃがいも力』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『じゃがいも』の文字が広く知られた野菜の一種を表す語であり、また、『力』の文字が『能力、効能』の意味を有する語であることから、構成全体として『じゃがいもの力(効能)』ほどの意味合いを理解させるものであるとしても、これが、その指定商品との関係において、直ちに商品の品質、効能を直接的又は具体的に表示するものとして理解されるものとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを有しない一種の造語を表したものと認識、把握されるとみるのが相当である。また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品の分野において、『じゃがいも力』の文字が、商品の品質等を表すものとして、取引上、普通に用いられている事実を見いだすことはできなかった。そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を表示するものということはできないものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。」として本願商標「じゃがいも力(標準文字)」は3条1項3号に該当しないと判断しました。

不服2015 - 5723「愛知全県模試」

本件は、第41類「試験の企画・実施又は運営」を指定役務とする本願商標「愛知全県模試」について、「『愛知県で実施される入学試験のための模擬試験』程の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定役務に使用したときには、これに接する取引者、需要者に、『愛知県で実施される入学試験のための模擬試験に関連した役務』であることを認識させる」にすぎないとして3条1項3号に該当するとの拒絶査定を受けた本願出願人が、これを不服として拒絶査定不服審判を請求した事件です。
特許庁は以下のような審決をしています。

当審の判断「本願商標は、『愛知全県模試』の文字を横書きに表してなるところ、その構成中、『愛知全県』の文字が、『愛知県全体』の意味を認識させるものであり、『模試」の文字が、「模擬試験」を略したものであるから、その構成文字全体からは、原審説示の如く『愛知県で実施される入学試験等のための模擬試験』程の意味合いを想起させることがあるとしても、これが直ちに本願の指定役務の質を直接的、かつ、具体的に表示するものと認識させるとはいい難いものである。そして、当審において職権により調査するも、『愛知全県模試』の文字が、本願の指定役務を取り扱う業界において、役務の質を表すものとして、普通に使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が、役務の質を表すものと認識するというべき事情も見あたらない。そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。」として3条1項3号に該当しないとの審決がなされています。

不服2014 - 650024 「gb」事件

本件は、アルファベットの「g」と「b」をモチーフにした商標「gb」(以下、「本願商標」とする。)について、パリ優先権を主張して国際商標登録出願をした、本願出願人が、アルファベットの「g」と「b」とハートマークの図形からなる引用商標「gb♥」に類似するとして商標法第4条第1項第11号で拒絶査定を受け、これを不服として、拒絶査定不服審判を請求したというものです。当審の判断は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『g』及び『b』の各欧文字をモチーフとして、それぞれに独特の図案化を施し、互いを近接して配した構成からなるものであって、一種のロゴマークとして認識される商標と認められ...本願商標からは、『ジービー』の称呼を生じるものであるが、直ちに特定の観念を生じないものと認める。...引用商標は、...『g』及び『b』の各欧文字と、黒塗りハート図形とを横一列に書してなるところ、当該2文字及び図形は、格別特徴のある書体及び図形とまでは認められず、それぞれを同程度の大きさをもって、等間隔にまとまりよく一体的に表されているものである。...そして、近時では、ハート図形は、『ハート』と称呼されるだけでなく、文字と並べて『ラブ』と称呼することもよく知られているといえるから、引用商標は、その構成全体から『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼が生じるものと考えられるところ、これらの称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、殊更『gb』の文字部分のみが強く支配的な印象を与えるとは言い難い。したがって、引用商標から『gb』部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されないというべきである。...引用商標は、『ジービー』の称呼が生じる以外にも、『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼も生じるものであり、また、構成全体として特定の観念を生じないものの、黒塗りハート図形部分から『ハート』の観念も生じ得るものというのが相当である。...本願商標と引用商標は、外観については、それぞれの構成態様に照らし、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。そして、称呼については、本願商標からは、『ジービー』の称呼のみが生じるのに対し、引用商標からは、『ジービー』の称呼のほか、『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼も生じるものであるから、同じ場合と異なる場合があり得るが、後者との関係では、その音数及び音構成が明らかに相違する。さらに、観念については、両商標は全体として特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものの、引用商標からは、本願商標からは生じ得ない『ハート』の観念も生じ得る点で、その限りにおいて観念についても類似するとは言い難いものである。以上を総合的に考慮すると、本願商標と引用商標は、両商標の外観は明確に区別できる上、称呼上も、同じ場合だけでなく異なる場合もあるから、たとえ両商標が、観念につき全体として比較できないとしても、誤認混同のおそれがなく、非類似の商標というべきである。」として4条1項11号に該当しないと判断しました。

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