不服2014 - 011133「こころ安らぐキンモクセイの香り(標準文字)」

本願商標「こころ安らぐキンモクセイの香り(標準文字)」は、第3類「せっけん類、身体用消臭剤、身体用防臭剤、その他の化粧品、香料、芳香剤(身体用のものを除く。)、消臭芳香剤(身体用のものを除く。)、その他の薫料etc.」及び第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)、その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)etc.」を指定商品として商標登録出願されましたが、「本願商標は全体として『心を安らかにするキンモクセイの香り』の意味合いを容易に理解・認識させる。」ので、商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するとして拒絶査定を受けました。本願出願人は、これを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の結果は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は...その構成全体から『心が安らかになる金木犀の香り』の意味を認識させるものである。そして、香りは様々な商品に利用されているところ、『心(が)安らぐ(やすらぐ)』の文字は、安らかな、穏やかな気持ちになる等のストレス軽減効果が期待されている香りについて、その効果等を表現する際に、普通に使用されているものである(別掲1)。

また、本願の指定商品を取り扱う業界においても、香りを付けた商品が各種取引されている中、別掲2のとおり、『浴剤、消臭剤、洗浄剤、香水、せっけん、化粧品』等において、『キンモクセイ(金木犀)の香り』の文字が、商品の香りの一つを表すものとして、広く使用されている実情が認められる。そうすると、香りの効果を表す一般的な表現といえる『こころ安らぐ』の文字と、本願の指定商品との関係において商品の香りを表したものとして認識される『キンモクセイの香り』の文字を結合した本願商標は、『心が安らかになるキンモクセイの香り』の意味を容易に認識させるものであるといえるから、...これに接する取引者、需要者が『心が安らかになるキンモクセイの香りを有する商品』であることを表したものとして理解するものであり、当該商品の品質(香り)を表示したものと認識するに止まるものである。そして、本願商標は、標準文字で表したものであるから、その構成文字の態様に特徴があるということもできない。」とし、本願商標は商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するので、本件審判の請求は、成り立たないとの審決を行いました。

不服2015 - 001755「日本菓子百選(標準文字)」

本願商標「日本菓子百選(標準文字)」は出願後の補正により、第30類「チョコレート、スナック菓子、せんべい」を指定商品としていますが、「本願商標は、その構成文字から、『日本の菓子の中から選ばれた100のもの』ほどの意味合いを容易に認識させる。」として、商標法第3条第1項第3号で拒絶査定を受けました。本願商標出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『日本菓子百選』の文字を標準文字で表してなるところ、別掲の審尋で示したとおり、全体として『我が国の優れた菓子の100に選ばれたもの』ほどの意味合いを容易に認識し得るといえるものであって、さらに、審尋におけるウェブサイトの情報から、本願の指定商品と関係の深い飲食料品を取り扱う業界において、『百選』(『100選』を含む。)の語が『優れたもの100を選び出すこと』の意味で一般に使用されている事実が認められる。してみると、本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、その商品が『我が国の優れた菓子の100に選ばれたもの』であることを理解させるにとどまるもの、すわなち、商品の品質を表示するにすぎないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられた方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」として、本件審判の請求は、成り立たないとの審決がなされました。

不服2014 - 012764「スマートタブレット(標準文字)」

本願商標「スマートタブレット(標準文字)」は、第5類「薬剤」を指定商品として出願されましたが、登録第5650397号商標「SMART(標準文字)」を引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定を受けました。本願出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、上記1のとおり、『スマートタブレット』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されており、また、これより生ずる『スマートタブレット』の称呼も、よどみなく一連に称呼できるものである。そして、その構成中前半の『スマート』の文字は、『利口な、賢い』、『気の利いた』、『洗練された』等の意味を有する英語の形容詞である『smart』の表音として、一般に親しまれているものであって、他の語を修飾する語として広く用いられているものである。そうとすると、本願商標は『スマート』の文字部分のみが殊更に分離、抽出され、独立して認識されるというよりは、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。したがって、本願商標から『スマート』の文字部分を分離、抽出し、『スマート』の称呼及び『スマート』の観念が生ずるとした上で、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。」として、本願商標は登録すべきであるとの判断をしました。

不服2013 - 012278「ブイセブン(標準文字)」

本願商標「ブイセブン(標準文字)」は、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド、乳幼児用粉乳、サプリメント、食餌療法用飲料、食餌療法用食品、乳幼児用飲料、乳幼児用食品、栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として商標登録出願されましたが、本願商標は、商品の形式・規格等を表示する記号・符号として一般に採択されている欧文字1文字と数字1文字とを組み合わせた「V7」を直観させるものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるとして商標法3条1項5号で拒絶されました。本願商標出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『ブイセブン』の片仮名を標準文字で表してなるものであるから、その構成上、直ちに極めて簡単で、かつ、ありふれた商標であるということはできない。そして、職権調査によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、欧文字と数字とを組み合わせた文字をもって、商品の形式、規格等を表示するための記号、符号として、取引上普通に使用されている実情があるとまでは認められなかった。そうとすると、本願商標は、上記記号、符号としての「V7」を想起するものとはいうことができない。してみると、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標とはいい難く、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものである。」と判断され、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当しないから登録すべきであるとの審決がなされました。

取消2012 - 300291「ASPIRE」

登録第3194846号商標「ASPIRE」(以下「本件商標」という。)は、指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されましたが、請求人は、本件商標は本件審判の請求前3年以内に、日本国内において商標権者等に使用されていないとして、商標法50条の規定により、不使用取消審判を請求しました。本件不使用取消審判においては、「中古車」への本件商標の使用が「自動車」についての使用と認められるかどうかが判断されており、興味深い内容となっています。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「商標権者(被請求人)は、本件商標『ASPIRE』を付した自動車を1998(平成10)年8月から2003(平成15)年3月まで新車として販売したと推認される。また、東日本三菱自動車販売株式会社は、商標権者の連結子会社であって、販売会社として、『三菱自動車(商標権者)又は三菱自動車(商標権者)の指定する者が製造し、三菱自動車(商標権者)が供給する自動車(以下『自動車』という。)の販売促進に資するため、中古車販売体制を充実させ、積極的で健全な中古車販売を行うことに努める』ことが課せられており、2011(平成23)年7月に、上記新車として販売された自動車のうちの1台(車台番号『EA7A-0403727』)を中古車として取引したことが認められる。そして、上記の中古車が取引された平成23年7月は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。...認定した事実を総合して判断すれば、商標権者である『三菱自動車工業株式会社』は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した『自動車』について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者の連結子会社である東日本三菱自動車販売株式会社を介在させ、中古車として販売したことが推認できる。...商標権者等が登録商標の使用をしている場合とは、特段の事情のある場合はさておき、商標権者等が、その製造に係る商品の販売等の行為をするに当たり、登録商標を使用する場合のみを指すのではなく、商標権者等によって市場に置かれた商品が流通する過程において、流通業者等が、商標権者等の製造に係る当該商品を販売等するに当たり、当該登録商標を使用する場合を含むものと解するのが相当である。このように解すべき理由は、今日の商品の流通に関する取引の実情に照らすならば、商品を製造した者が、自ら直接消費者に対して販売する態様が一般的であるとはいえず、むしろ、中間流通業者が介在した上で、消費者に販売することが常態であるといえるところ、このような中間流通業者が、当該商品を流通させる過程で、当該登録商標を使用している場合に、これを商標権者等の使用に該当しないと解して、商標法50条の不使用の対象とすることは、同条の趣旨に反することになるからである。(知財高裁平成24年(行ケ)第10310号、同25年3月25日判決参照) 本件においてこれをみるに、東日本三菱自動車販売株式会社は、商標権者の連結子会社であって、販売会社として、『自動車の販売促進に資するため、中古車販売体制を充実させ、積極的で健全な中古車販売を行うことに努める』ことが課せられていることからすれば、商標権者の製造に係る商品を販売するに当たり、本件商標を使用したとみて差し支えないものであり、これを商標権者が本件商標を使用している場合に含むものと解することも可能であって、わざわざ東日本三菱自動車販売株式会社を本件商標の通常使用権者としなければならない理由はない。」として、商標権者がその請求に係る指定商品中の「自動車」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るから取消すことはできないとしました。

不服2015 - 8802「ねむる前に(標準文字)」

本願商標「ねむる前に(標準文字)」は、り、第5類「ビタミン剤、アミノ酸剤、滋養強壮変質剤、サプリメント、食餌療法用飲料、食餌療法用食品」を指定商品として商標登録出願されましたが、「本願商標は、『ねむる前に』の文字を表示してなるところ、指定商品の分野において、寝る(休息)前に摂取し、睡眠をサポートする成分が入っていることをうたっている商品があることから、これをその指定商品に使用しても、『寝る前に摂取すること』程の意味合いを認識させるにとどまり、単に商品の使用時期を表示したにすぎないものと認める。」として、商標法第3条第1項第3号を理由として拒絶査定を受けました。本願出願人は、これを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。

当審の判断「本願商標は、『ねむる前に』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ねむる』の文字は、『眠る』の文字を表してなるものと無理なく理解できるものであり、『心身の動きが一時的に低下し、目を閉じて無意識の状態になる。』(「大辞泉 増補・新装版」小学館発行)を意味するもので、いわゆる『睡眠』のことであることから、全体として『睡眠状態になる前に』程の意味を想起させるものである。ところで、本願の指定商品である『サプリメント』等の取引においては、通常、『薬剤』の場合と異なり、商品の使用方法や説明で、商品を摂取する時期について明示する例が多いとはいえないし、需要者も摂取時期に気を配って商品を購入することが普通とまではいえないものである。そして、睡眠をサポートすることをうたった商品においても、商品の説明や用法等において、それを摂取する時期として、『眠る前』の語が一般に使用されているような実情を見いだすことはできない。しかも、言葉のニュアンスとして、『眠る』という行為は『心身の動きが一時的に低下する状態』になるものであるから、その前において、サプリメント等を摂取する行動をすることは考えがたいものである。してみると、本願商標は、「睡眠状態になる前に」という意味を想起することはあるとしても、商品の使用の方法や使用の時期を直接的かつ具体的に表示するものとして、本願の指定商品の取引者、需要者に把握、理解されるものとはいいがたいものである。また、当審において、職権をもって調査したところ、「ねむる前に」の語がその商品の品質等を具体的に表すものとして、取引上、普通に使用されている事実を発見することはできなかった。そうすると、本願商標は、その指定商品に使用したとしても、商品の品質等を表示するものとして認識されるとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。」として、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないので登録すべきであるとの審決をしました。

不服2015 - 6355「自分で出来る(標準文字)」

本願商標「自分で出来る(標準文字)」は、第45類「金庫の貸与、ファッション情報の提供、結婚又は交際を希望する者への異性の紹介、婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供、葬儀の執行、墓地又は納骨堂の提供、工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務、訴訟事件その他に関する法律事務、登記又は供託に関する手続の代理、著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」等を指定役務として商標登録出願されましたが、本願商標は、「『個人(自分)でも行うことが出来るために手助けする』程度の意味合いを認識し、何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないもの」であるとして、商標法第3条第1項第6号を理由として拒絶査定を受けました。本願商標出願人は、これを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は、以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『自分で出来る』の文字からなるところ、これよりは、『自身でする能力がある。又は、自身ですることが可能である。』程の意味合いを理解させるものであるとしても、これが、その指定役務との関係において、特定の意味合いをもって親しまれ、あるいは、特定の役務の質等を具体的に表示するものとして、一般に理解されているとは認め難いところである。また、当審において職権をもって調査するも、該文字が、本願の指定役務の分野における役務の提供等において、取引上普通に使用されている事実を発見することができなかった。そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用するときは、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないものである。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないから登録すべきであるとしました。

不服2015 - 11830「快適ガード(標準文字)」

本願商標「快適ガード(標準文字)」は、第5類「薬剤、医療用試験紙、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド、おむつ、おむつカバー、はえ取り紙、防虫紙」を指定商品として出願されましたが、「『気持が良く、経血や尿のもれ・花粉の進入をガード(防ぐ)する商品』程の意味合いを認識させるにとどまり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認められる。」として、商標法第3条第1項第3号で拒絶査定を受けました。本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は、以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『快適ガード』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は『ぐあいがよくて気持のよいこと。』の意味を有する『快適』の文字と『防御すること』等の意味を有する『ガード』の文字(「広辞苑 第六版」岩波書店発行)とを一連に表したものと直ちに認識し得るものである。そこで、本願商標の各構成文字の意味合いをみるに、本願の指定商品との関係では、例えば、『衛生用マスク』、『おむつ』、『生理用ナプキン』等において、他の語を伴って、その構成中の『快適』の文字が、体の感触が良いことを表すものとして、『ガード』の文字が、花粉、尿、経血などの侵入や漏れから守ることを表すものとして使用されている場合があるものの、『快適』及び『ガード』の文字のみをもって該意味合いを表し得るものではなく、加えて、本願商標は、『快適』と『ガード』の文字とを結合して一体に『快適ガード』と表してなるものであるから、かかる態様の下では、なおさら、これが原審説示の意味合いを直ちに認識させるものであるとはいい難いものである。そして、『快適ガード』の文字は、その構成する各文字の意味より『快適さを守る』や『快適に守る』ほどの意味合いを連想、想起させることがあるとしても、該意味合いが本願の指定商品との関係において、特定の品質や用途等を直接的、かつ、具体的に表示するとまではいい難いものである。また、当審において、職権をもって調査したところ、『快適ガード』の語がその商品の品質等を具体的に表すものとして、取引上、普通に使用されている事実を発見することはできなかった。してみると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、その構成全体をもって一種の造語を表したものとして把握、理解されるというのが相当である。そうすると、本願商標は、その指定商品に使用したとしても、商品の品質等を表示するものとして認識されるとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。」として、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないので登録すべきであるとの審決を行いました。

不服2014 - 24820「招福羊羹(標準文字)」

本願商標「招福羊羹(標準文字)」は、第30類「ようかん」を指定商品として、商標登録出願されましたが、登録第1780390号商標「招福」(以下「引用商標1」という。)と、登録第5174859号商標「招福」(以下「引用商標2」という。)と類似するとして商標法第4条第1項第11号で拒絶査定を受けました。本願商標出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『招福羊羹』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『羊羹』の文字部分は、本願商標の指定商品を表す普通名称であるから、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと判断するのが相当である。してみると、本願商標は、『招福』の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないと判断するのが相当である。そうすると、本願商標は、『招福』の文字部分に相応して『ショウフク』の称呼を生じ、『福を招くこと』(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行)の観念を生じるものというべきである。...引用商標は、『招福』の文字を書してなるから、これより『ショウフク』の称呼を生じ、『福を招くこと』の観念を生じるものである。本願商標と引用商標は、...その全体の外観は相違するが、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有する『招福』の文字部分と引用商標の文字部分とを比較すると、両者は、縦書きと横書きの差異はあるものの、『招福』という同一の文字で構成されているから、外観が類似するといえるものである。また、両者は、『ショウフク』の称呼及び『福を招くこと』の観念において同一である。 そうすると、本願商標と引用商標は、全体の外観において相違するものの、『招福』の文字部分において外観が類似し、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、互いに類似の商標というべきである。本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、前記1及び2のとおりであるところ、引用商標1の指定商品には本願商標の指定商品が含まれている。また、引用商標2の指定商品中『サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ』は、本願商標の指定商品と販売場所、用途、需要者の範囲等を共通にすることが多いから、互いに類似する商品である。したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものといえるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」として本願商標は登録することができないとしました。

不服2014 - 25520「NITTA(標準文字)」

本願商標「NITTA(標準文字)」は、第7類「動力伝導用ベルト、運搬用ベルト」を指定商品として出願されましたが、「本願商標は、ありふれた氏の一つと認められる『新田』に通じる『NITTA』の欧文字を表示してなるものであるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。」として、商標法第3条第1項第4号を理由に拒絶査定となりました。原告はこれを不服として拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断【1】商標法第3条第1項第4号について
「本願商標は、...『NITTA』の欧文字を標準文字で表してなるところ、『新田』の文字は、我が国においては、氏を表す語として一般に用いられているものとみるのが相当であり、また、一般の商取引においては、氏は必ずしも漢字だけで表すものではなく、ローマ字で表す場合も決して少なくないものである。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である『新田』をローマ字で表したもの、すなわち、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。」として商標法第3条第1項第4号に該当するとの判断を示しました。

【2】商標法第3条第2項について
「出願人は、動力伝導革用ベルトの製造に成功した後、ゴムベルト、ニカワ、ゼラチンなどに事業領域を拡大し、現在は、『創業125年の伝統を誇るベルト大手』と評される東京証券取引所市場第一部の上場企業である。...出願人は、『工業用品ゴム・樹脂ハンドブック』の2009年版及び2013年版に、ゴムベルトの生産会社として挙げられた10社のうちの1社として、また、樹脂コンベヤベルトの主要メーカーの1社として掲載されている。...当審における職権調査によれば、出願人は、工業又は化学分野において発行部数の多い「日刊工業新聞」や「化学工業日報」等の日刊業界新聞において、「大手ベルト3社」や「伝動ベルト3社」のうちの1社として、また、日本経済新聞、日経産業新聞、日本証券新聞等の日刊経済新聞において、「伝導用ベルトの大手」として、多数の記事に取り上げられている事実が見受けられる。...出願人の2011年度から2013年度の連結売上高は、毎年500億円以上であり、2011年度の連結売上高は、ゴム製品製造業において、第17位である(資料3、資料4、資料7)。...さらに、職権調査によれば、出願人以外の者が「NITTA」の文字を本願の指定商品について使用している事実は発見できなかった。 してみれば、本願商標は、その指定商品「動力伝導用ベルト、運搬用ベルト」について、出願人により使用をされた結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備している。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるとしました。

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