不服2015 - 1404「MINI MOTO(標準文字)」

本願商標「MINI MOTO(標準文字)」は、第12類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年10月24日に登録出願され、その後、第12類「小型二輪自動車用エンジン、小型二輪自動車用フェンダー、小型二輪自動車用シート、小型二輪自動車用グラブバー、小型二輪自動車用キャリア、小型二輪自動車用荷台、小型二輪自動車用ステップ、小型二輪自動車用フットレスト、小型二輪自動車用ショックアブソーバー、小型二輪自動車用サスペンションアーム、小型二輪自動車用懸架装置、小型二輪自動車用ハンドル、小型二輪自動車用ステム、小型二輪自動車用ステアリングダンパー、小型二輪自動車用ブレーキ、小型二輪自動車用ブレーキ用部品、小型二輪自動車用ホイール、小型二輪自動車用駆動チェーン、小型二輪自動車用燃料タンク、小型二輪自動車用タイヤ・チューブ、小型二輪自動車用スタンド、小型二輪自動車用トライク用部品、小型二輪自動車用ギア、小型二輪自動車用変速機、小型二輪自動車用方向指示器、小型二輪自動車用サイドミラー、小型二輪自動車用フレーム、小型二輪自動車用ベアリング、小型二輪自動車用外装カウル、小型二輪自動車用サイドカバー、小型二輪自動車用クラッチケーブル・ワイヤー、小型二輪自動車用スロットルケーブル・ワイヤー、小型二輪自動車用メーターケーブル・ワイヤー、その他の小型二輪自動車用の部品及び附属品」に指定商品が補正されました。

本願商標は、原査定において「本願商標は、『MINI MOTO』の文字を標準文字で表してなるところ、インターネット情報によれば『小型の車体に空冷エンジンを搭載したバイク』が『MINI MOTO(ミニモト)』のように称されている実情が認められることよりすると、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品を上記に照応するバイク用の部品又は付属品であると理解、認識するにすぎないものであり、単に商品の品質・用途を普通に用いられる方法で表示するものであるといわざるを得ない。」として、商標法第3条第1項第3号で拒絶査定を受けました。本願出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『MINI MOTO』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『MINI』の文字は、『小型の』の意味を有する英語として広く一般に親しまれているとともに、フランス語においても同様の意味を有するものであり、また、『MOTO』の文字は、フランス語で『(125cc超の)オートバイ』の意味を有するものである(『ディコ仏和辞典』株式会社白水社)。そして、これらの文字は、一連での熟語として、辞書等には掲載されていないものの、『MINI MOTO』の文字又はこれを片仮名表記した『ミニモト』の文字が、例えば、...本願の指定商品を扱う分野において、『小型のバイク』を指称する語として使用され、また、当該バイク用の部品の販売においても実際に使用されている事実がある。以上によれば、『MINI MOTO』の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者に、『小型のバイク用の商品』であることを表すものと理解、認識させるにとどまり、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。...請求人は、本願商標『MINI MOTO』の文字は、小型バイクを示す場合もあるが、ミニモトクロスの略称としても使用されており、また、その構成中の『MINI』の文字が、多様な意味合い・ニュアンスを有することから、本願商標は、曖昧な印象を強く取引者・需要者に与えるものであり、具体的な商品である小型バイクを直接的に認識させ得るものではない旨主張する。しかしながら、『MINI MOTO』の文字やその構成中の『MINI』の文字に複数の意味合いがあるとしても、それをもって、取引者、需要者が上記(1)のとおり『小型のバイク』を認識する場合があることを否定されるものではないから、請求人による上記主張を採用することはできない。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから本件審判の請求は、成り立たないとしました。

不服2015 - 16691「やかん焼き(標準文字)」

本願商標「やかん焼き(標準文字)」は、第43類「飲食物の提供、飲食物の提供に関する情報の提供、飲食店の予約の取次ぎ、飲食物の提供の契約の媒介又は取次ぎ、宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ、業務用加熱調理機械器具の貸与、業務用食器乾燥機の貸与、業務用食器洗浄機の貸与、加熱器の貸与、食器の貸与、調理台の貸与、流し台の貸与、おしぼりの貸与、タオルの貸与」を指定役務として出願されましたが、  原査定では、「本願商標は、『やかん焼き』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『焼き』の文字は、『焼くこと、焼いたさま』を意味するものであるから、本願商標は、全体として『やかんで焼くこと、やかんで焼いたもの』程の意味合いを生ずるものである。そして、飲食業界においては、文字の先頭に食材を焼く際に用いる物を表した語句を伴って『鉄板焼き』『石焼き(溶岩焼き、岩盤焼き)』『瓦焼き』『わら焼き』のように、『○○焼き』と調理手法を表現することが汎用されている。以上によれば、『やかん焼き』の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標を、その指定役務中『飲食物の提供、飲食物の提供に関する情報の提供、飲食店の予約の取次ぎ、飲食物の提供の契約の媒介又は取次ぎ、業務用加熱調理機械器具の貸与、加熱器の貸与』に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、『やかんで焼いた料理の提供に関する役務』、また、『やかんで焼いた料理用の加熱調理器の貸与』であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。」として、商標法第3条第1項第3号に該当することを理由として拒絶査定を受けました。

当審の判断「本願商標は、『やかん焼き』の文字からなるところ、該文字は、『やかんで焼くこと』程の意味合いを理解することができるとしても、そのような焼き方が一般的な調理法として理解されているとはいえず、これが直ちに本願の指定役務の質を直接的、かつ、具体的に表示するものであるとはいい難いものである。そして、当審において職権により調査するも、『やかん焼き』の文字が、本願の指定役務を取り扱う業界において、役務の質を表すものとして、普通に使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が、役務の質を表すものとして理解されるというような特別の事情も見あたらない。そうすれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。」として本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないから登録すべきであるとの判断を示しました。

不服2015 - 12991「いちごおり(標準文字)」

本願商標「いちごおり(標準文字)」は、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として出願され、その後第30類「苺を使用したかき氷用の氷、その他の苺を使用した氷、苺を使用したかき氷、苺を使用した菓子及びパン」に指定商品が補正されました。 
しかしながら原査定においては、「本願商標は、『いちごおり』の文字を標準文字で表してなるところ、インターネットによる情報によると、近年、食品に関連する分野において『いちごおり』、『イチゴオリ』等の文字が『苺を使用したかき氷』程の意味合いを表すものとして使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定商品中、上記の商品に使用するときは、『苺を使用したかき氷』ほどの意味合いを認識するにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定され拒絶査定を受けました。本願出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『いちごおり』の平仮名を標準文字で表してなるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさにより等間隔でまとまりよく表されているものであり、これより生ずる『イチゴオリ』の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、本願商標は、その構成中の『いちご』の文字が『苺』の意味を有する語として一般に広く親しまれ、また、同じく、『ごおり』の文字から、前に言葉をつけた場合に『○○ごおり』と読まれる『氷』の語を連想する場合があるとしても、両語をつなげて、1つの『ご』の文字を省略して表した、その構成全体からは、直ちに原審説示のごとき意味合いを認識させるとはいい難い。また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、『いちごおり』の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実は発見できなかった。そうしてみると、本願商標は、その構成全体をもって特定の意味を有することのない一種の造語として認識されるというのが相当であるから、これをその指定商品について使用しても、商品の品質等を表示したものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないというのが相当である。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないので、登録すべきものであるとするとの審決を行いました。

不服2015 - 15195「ALMOSTBLACK(標準文字)」

本願商標「ALMOSTBLACK(標準文字)」は、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、キャミソール、ティーシャツ、アイマスク、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、ネクタイ、ネッカチーフ、バンダナ、保温用サポーター、マフラー、耳覆い、ナイトキャップ、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)、運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」を指定商品として出願されましたが、「本願商標は、『ほとんど黒色』の意味を有する『ALMOSTBLACK』の文字を標準文字で表してなるから、これをその指定商品中、『黒色の商品』に使用する場合には、単に商品の品質(色彩)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」として拒絶査定を受けました。本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『ALMOSTBLACK』の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『ALMOST』の欧文字は『ほとんど』を意味する英語(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典第2版)として、また『BLACK』の欧文字は『黒、黒い色』(前掲書)を意味する英語として、それぞれ広く知られているものであることから、本願商標からは『ほとんど黒色』の意味合いを暗示させることがあり得るとしても、本願商標の指定商品との関係において、特定の商品の品質等を直接的又は具体的に表示するものであるとまではいい難く、また、当審において調査するも、当該指定商品を取り扱う業界において、『ALMOSTBLACK』の欧文字が商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実も発見できなかった。そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、自他商品の識別標識としての機能を有しないものということはできないし、また、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。」として本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないから登録すべきであるとの審決を行いました。

不服2015 - 6914「バレニンちゃん(標準文字)」

本願商標「バレニンちゃん(標準文字)」は、第29類「鯨肉,鯨肉製品,鯨肉を用いた加工水産物,その他の加工水産物」を指定商品として、平成26年6月37日に登録出願されましたが、本願商標と登録第5644009号商標「バレニン君」(以下「引用商標」という。)は、どちらも「バレニン」の称呼を生じるので類似するとして、商標法第4条第1項第11号を理由として拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『バレニンちゃん』の文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する各文字は、まとまりよく一体に表されており、その構成文字全体から生じる『バレニンチャン』の称呼も冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、本願商標の構成中、『バレニン』の文字は、鯨肉に多く含まれるアミノ酸の意味を有する語であって(甲1)、本願の指定商品との関係においては、商品に含まれる栄養素を表したものと看取され得るものであり、自他商品の識別標識としての機能がさほど強いとはいい難いものである。また、構成中の『ちゃん』の文字は、これを名詞に付した場合、親しみを表す呼び方として広く一般に使用されている。そうすると、上記構成からなる本願商標は、その指定商品に含まれるアミノ酸『バレニン』の文字に、親しみを表す『ちゃん』の文字を付して擬人化して表したものと看取されるとみるのが相当であり、他に、本願商標の構成中、『バレニン』の文字のみが独立して出所識別標識として認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。してみれば、本願商標は、その構成全体が一体不可分の標章を構成するものとして理解、認識されるというべきであるから、その構成文字全体に相応して、『バレニンチャン』の称呼のみを生じるものというべきである。したがって、本願商標から『バレニン』の称呼を生じるとした上で、本願商標と引用商標が称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとした原査定は、取消しを免れない。」として、本願商標と引用商標は非類似なので商標法第4条第1項第11号に該当しないので登録すべきであるとしました。

不服2015 - 6335「世界通貨分散(標準文字)」

本願商標「世界通貨分散(標準文字)」は、第36類「投資顧問契約に基づく助言及び投資一任契約に基づく投資、投資信託受益証券の募集・売出し、投資信託に係る信託財産の運用指図、投資信託に関する情報の提供、...土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、平成26年5月13日に登録出願されましたが、本願商標は、「『世界の複数の通貨に分散して投資する方法の役務』であるということを理解させるにとどまる」として、商標法第3条第1項第3号に該当することを理由として拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『世界通貨分散』の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、...拒絶の理由のとおり、本願商標は、これをその指定役務中、『投資顧問契約に基づく助言及び投資一任契約に基づく投資、投資信託受益証券の募集・売出し、投資信託に係る信託財産の運用指図、投資信託に関する情報の提供』に使用しても、取引者、需要者は、『世界の複数の通貨に分散して投資する方法の役務』であるということを理解させるにとどまるというのが相当であるから、単に、役務の質、提供の方法を表示するにすぎないものである。」として、本願商標は、単に役務の質等を表示するものであるから商標法第3条第1項第3号に該当するので登録することができないとしました。

不服2015 - 3338「健やかで活動的な毎日のために(標準文字)」

本願商標「健やかで活動的な毎日のために(標準文字)」は、第5類、第29類及び第32類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年10月28日に登録出願され、その後、第32類「青汁を含有するビール、ビール、青汁を含有するビール風味の麦芽発泡酒、ビール風味の麦芽発泡酒、飲料用青汁、飲料用青汁のもと、青汁を含有する清涼飲料、清涼飲料、青汁を含有する清涼飲料のもと、清涼飲料のもと、青汁を含有するビール風味の清涼飲料、ビール風味の清涼飲料、青汁を含有する果実飲料、果実飲料、青汁を含有する果実飲料のもと、果実飲料のもと、青汁を含有する飲料用野菜ジュース、飲料用野菜ジュース、青汁を含有する飲料用野菜ジュースのもと、飲料用野菜ジュースのもと、青汁を含有するコーヒーシロップ、コーヒーシロップ、青汁を含有するシャーベット水、シャーベット水、青汁を含有するトマトジュース、トマトジュース、青汁を含有するシロップ、シロップ、青汁を含有するビール製造用ホップエキス、ビール製造用ホップエキス、青汁を含有する麦芽汁、麦芽汁、青汁を含有するビール製造用麦芽汁、ビール製造用麦芽汁、青汁を含有する乳清飲料、乳清飲料、青汁を含有する乳清飲料のもと、乳清飲料のもと、青汁を含有するアルコール分を含まない飲料、アルコール分を含まない飲料、青汁を含有する飲料製造用調整品、飲料製造用調製品」と指定商品が補正されましたが、本願商標は、「『健やかで活動的な毎日のために使用する商品』程度の意味合いの広告・宣伝のための標語(キャッチフレーズ)を表示したものと認識されるにとどまるものである」ので、商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『健やかで活動的な毎日のために』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、『病気をせず、からだの丈夫なさま。』を意味する『健やか』、『いきいきと動くさま。』を意味する『活動的』及び『日ごと。ひび。』を意味する『毎日』の各語(各語の意味については、『広辞苑第六版』(株式会社岩波書店発行)から引用。)を主として組み合わせてなるものであって、その構成全体をもって、『からだが丈夫でいきいきと動くようなひびのために』程の意味合いを容易に想起させるものである。ところで、本願の指定商品中には、例えば、『飲料用青汁』、『果実飲料』、『飲料用野菜ジュース』といった商品が含まれているところ、これらの商品を取り扱う業界においては、近年における健康意識の高まりとともに、需要者の興味や関心をひくべく、商品の宣伝、広告における文言等として、例えば、『元気で活動的な毎日のために』、『いきいきとした毎日のために』、『活動的でいられる健やかな毎日のための』のように、元気にいきいきとした毎日を過ごすため、あるいは、いきいきと健康な毎日とするためといった意味合いを容易に想起させる語句を用いることが広く行われている。そうとすると、上記のとおり、『からだが丈夫でいきいきと動くようなひびのために』程の意味合いを容易に想起させる本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、自他商品の識別標識として認識するというよりはむしろ、それらの商品に係る宣伝文句ないしキャッチフレーズの一類型として理解、認識するにとどまるとみるのが相当である。そして、請求人が原審ないし当審を通じて提出した各資料を総合してみても、上記理解、認識を妨げるとみるべき特段の事情は見いだせない。してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、取引者、需要者をして、宣伝文句ないしキャッチフレーズの一類型と理解、認識されるものであって、自他商品の識別標識とは認識されることのないものというべきである。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するので登録することができないとしました。

不服2015 - 11740「鍵110番(標準文字)」

本願商標「鍵110番(標準文字)」は、第37類「自転車の修理、自動車の修理又は整備、荷役機械器具の修理又は保守、火災報知機の修理又は保守、機械式駐車装置の修理又は保守、自転車駐輪器具の修理又は保守、金庫の修理又は保守、錠前の取付け又は修理」を指定役務として平成26年7月31日に出願されましたが、「本願商標は、全体として、『鍵に関する緊急連絡に対応します。』程の意味合いを容易に認識させるものというのが相当である。」として、商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『鍵110番』の文字からなるところ、その構成中の『鍵』の文字は、『錠の孔にさし入れて、これを開閉する道具。更に広く、錠。』等の意味を有し、『110番』の文字は、『警察に事件などを通報する時の電話番号。警察緊急通報用電話。比喩的に、電話での相談・要請に応ずる組織を表す接尾語としても使う。』等の意味を有する語である(いずれも『広辞苑第5版』岩波書店)。そして、『鍵110番』の文字については、原審で示した事実の他に、以下のとおり、『鍵の』や『カギ』、『鍵』等の文字と『110番』の文字とを組み合わせて、『○○110番』のように、使用されている実情がある。なお、『鍵110番』、『カギ110番』及び『鍵の110番』は、『鍵』が漢字で表されているか片仮名で表されているかの違いや、格助詞『の』の有無にすぎず、いずれも同義とみるのが相当である。<インターネット情報>ア『鍵のトラブル救助隊』のウェブサイトにおいて、『【鍵110番トラブル救助隊】は、鍵のトラブルにすぐに駆けつけます』の見出しのもと、『鍵の開錠や紛失等で困ってしまった・・・そんな時は鍵の110番【鍵110番トラブル救助隊】にお電話ください。お電話は通話料無料のフリーダイヤルとなっております。また、24時間対応可能となっておりますので、万が一のときはお電話1本で皆様のもとへ駆けつけます。』の記載がある。(http://key-kumamoto.com/company)...以上によれば、例えば、上記のウェブページにおいて、『鍵の開錠や紛失等で困ってしまった...そんな時は鍵の110番【鍵110番トラブル救助隊】にお電話ください。』、『鍵の110番は鍵の紛失やドアが開かないなどのトラブルに駆けつけてくれるサービスです。』及び『【鍵を紛失した】【鍵が折れた・曲がった】【家・車のドアが開かない】といった鍵に関する緊急のトラブルなら、宮崎にあるカギの110番こと【クイックサービス】に今すぐお電話下さい。』の記載等があり、『鍵110番』等の文字は、鍵の取付け又は修理等を行う役務の提供において、鍵のトラブルに緊急対応することが可能であることを表す語として一般に使用されているものである。そうすると、本願商標をその指定役務中の、鍵の修理等が含まれる『自転車の修理、自動車の修理又は整備、機械式駐車装置の修理又は保守、自転車駐輪器具の修理又は保守、金庫の修理又は保守、錠前の取付け又は修理』について使用しても、『鍵に関する緊急連絡に対応します。』ほどの意味合いを想起させるものというのが相当である。してみれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、鍵のトラブルについての緊急対応に関するキャッチフレーズを表したにすぎないものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を発揮する商標を表したものとは認識し得ないものであるから、何人かの業務に係る役務であることを認識できない商標というべきである。」として、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するので、本件審判の請求は成り立たないとの審決をしました。

不服2013 - 22500「いつでも、どこでも、何にでも」

請求人は、読点を含む文字を横書きした「いつでも、どこでも、何にでも」(以下、「本願商標」とする。)について第36類「前払式証票の発行」を指定役務とし(その後指定役務を第36類「食事券の発行」と補正)、平成24年12月29日に出願しましたが、本願商標は「『どんな時にも、場所を問わず、どのようなものにも』程の意味合いを容易に理解するにとどまるから、これを本願指定役務(『前払式証票の発行』)に使用しても、これに接した取引者及び需要者は、ごく自然に提供される役務の理想、方針等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズとして認識、理解するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない」として、商標法第3条第1項第6号で拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『いつでも、どこでも、何にでも』の読点を含む文字を横書きしてなるところ、その構成中の『いつでも』、『どこでも』及び『何にでも』の文字は、それぞれ『どのような時でも』、『どのような所でも』及び『どのようなものにでも』程の意味合いを表す平易な日常語であるといえる。また、本願商標の指定役務は、...『食事券の発行』であるところ、『食事券』は『飲食店などで飲食代として使用できる金券のこと。』(実用日本語表現辞典(http://www.weblio.jp/content/)で検索した「お食事券」の項参照)を意味する語であるから、『食事券』は『前払式証票』(プリペード-カードや商品券のように、あらかじめ金銭を支払い、物品の給付等を受けることのできるカード・証票等で、乗車券・入場券等以外のもの。【大辞林第3版】)の一種と認められる。そして、前払式証票は、利用可能な金額、利用可能な場所(加盟店等)等の条件があるもので、このことは、前払式証票の一種である食事券にも当てはまるものである。してみれば、食事券は、あらかじめ金額を支払い、券面等に記載された条件の範囲内で、飲食物の提供を受けることが約束された証票(金券)であるから、『食事券の発行』の役務は、食事券の発行者が、取引者・需要者に対し、当該食事券に化体された上記条件や約束を履行・享受させる役務を提供することというべきである。そして、別掲2及び原審で摘示した別掲3の事実によれば、前払式証票を取り扱う業界においては、『いつでも』『どこでも』『何にでも』の文字を、当該前払式証票が、その加盟店、額面に記載の金額等の制限の範囲において、時・所・対象を問わず広く使用できる程の意味合いで、提供する役務の制限が少ない又は役務の範囲が広いこと、すなわち、役務の利便性や訴求点を、当該前払式証票の利用者に対して端的にイメージさせるための標語(キャッチフレーズ、スローガン)として使用している実情が認められる。以上に鑑みれば、本願商標の指定役務『食事券の発行』は、加盟店の範囲が飲食店に限定された『前払式証票の発行』にほかならないことから、本願商標『いつでも、どこでも、何にでも』を、その指定役務について使用すると、これに接した需要者(加盟の飲食店関係者及び一般消費者と認められる。)は、券面に記載の金額等の制限の範囲において『どんな時でも、どんな所でも、どのようなもの(飲食物)にでも』使用できる食事券を提供するといった、提供する役務の制限が少ない又は役務の範囲が広いこと、すなわち、役務の利便性や同業他社に対する自社の訴求点を端的にイメージさせるための標語(キャッチフレーズ、スローガン)として認識、理解するにとどまるというべきである。また、本願商標の態様は別掲1のとおりであり、その態様上顕著な特徴は認められない。そうすると、本願商標は、役務の出所識別標識としては機能しないというのが相当である。してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるといわざるを得ない。」として、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するので登録することができないとしました。

不服2015 - 15572「スマートICT(標準文字)」

本願商標「スマートICT(標準文字)」は、第7類「クレーン、エレベーター、土木機械器具、荷役機械器具」及び第37類「建設工事、建築工事に関する助言、クレーンの修理又は保守、乗用及び貨物用エレベーターの修理又は保守、荷役機械器具の修理又は保守、土木・建設用クレーンの貸与、土木機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成26年6月26日に登録出願されましたが、「本願商標は全体として、『ハイテクな情報通信技術』程の意味合いを容易に認識させるにすぎない」として、商標法第3条第1項第3号を理由として拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。審決は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、『スマートICT』の文字からなるところ、その構成中、『スマート』の文字は、『身なりや動作などが洗練されて粋なさま。』等の意味を有する語であり、『ICT』の文字は、『情報通信技術』の意味を有する語(いずれも、『広辞苑第六版』株式会社岩波書店)であるとしても、これらの語からなる本願商標は、直ちにその指定商品及び指定役務の品質及び質を直接的、かつ、具体的に表示するものと認識させるとはいい難いものである。そして、当審において職権により調査するも、「スマートICT」の文字が、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、商品の品質及び役務の質を表すものとして、普通に使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が、商品の品質及び役務の質を表すものと認識するという特別の事情も見あたらない。そうすれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。」として、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないので登録すべきであるとの審決を下しました。

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