不服2014 - 650024 「gb」事件

本件は、アルファベットの「g」と「b」をモチーフにした商標「gb」(以下、「本願商標」とする。)について、パリ優先権を主張して国際商標登録出願をした、本願出願人が、アルファベットの「g」と「b」とハートマークの図形からなる引用商標「gb♥」に類似するとして商標法第4条第1項第11号で拒絶査定を受け、これを不服として、拒絶査定不服審判を請求したというものです。当審の判断は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『g』及び『b』の各欧文字をモチーフとして、それぞれに独特の図案化を施し、互いを近接して配した構成からなるものであって、一種のロゴマークとして認識される商標と認められ...本願商標からは、『ジービー』の称呼を生じるものであるが、直ちに特定の観念を生じないものと認める。...引用商標は、...『g』及び『b』の各欧文字と、黒塗りハート図形とを横一列に書してなるところ、当該2文字及び図形は、格別特徴のある書体及び図形とまでは認められず、それぞれを同程度の大きさをもって、等間隔にまとまりよく一体的に表されているものである。...そして、近時では、ハート図形は、『ハート』と称呼されるだけでなく、文字と並べて『ラブ』と称呼することもよく知られているといえるから、引用商標は、その構成全体から『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼が生じるものと考えられるところ、これらの称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、殊更『gb』の文字部分のみが強く支配的な印象を与えるとは言い難い。したがって、引用商標から『gb』部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されないというべきである。...引用商標は、『ジービー』の称呼が生じる以外にも、『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼も生じるものであり、また、構成全体として特定の観念を生じないものの、黒塗りハート図形部分から『ハート』の観念も生じ得るものというのが相当である。...本願商標と引用商標は、外観については、それぞれの構成態様に照らし、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。そして、称呼については、本願商標からは、『ジービー』の称呼のみが生じるのに対し、引用商標からは、『ジービー』の称呼のほか、『ジービーハート』ないし『ジービーラブ』の称呼も生じるものであるから、同じ場合と異なる場合があり得るが、後者との関係では、その音数及び音構成が明らかに相違する。さらに、観念については、両商標は全体として特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものの、引用商標からは、本願商標からは生じ得ない『ハート』の観念も生じ得る点で、その限りにおいて観念についても類似するとは言い難いものである。以上を総合的に考慮すると、本願商標と引用商標は、両商標の外観は明確に区別できる上、称呼上も、同じ場合だけでなく異なる場合もあるから、たとえ両商標が、観念につき全体として比較できないとしても、誤認混同のおそれがなく、非類似の商標というべきである。」として4条1項11号に該当しないと判断しました。

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