不服2014 - 25520「NITTA(標準文字)」

本願商標「NITTA(標準文字)」は、第7類「動力伝導用ベルト、運搬用ベルト」を指定商品として出願されましたが、「本願商標は、ありふれた氏の一つと認められる『新田』に通じる『NITTA』の欧文字を表示してなるものであるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。」として、商標法第3条第1項第4号を理由に拒絶査定となりました。原告はこれを不服として拒絶査定不服審判を請求しました。審決の内容は以下の通りです。

当審の判断【1】商標法第3条第1項第4号について
「本願商標は、...『NITTA』の欧文字を標準文字で表してなるところ、『新田』の文字は、我が国においては、氏を表す語として一般に用いられているものとみるのが相当であり、また、一般の商取引においては、氏は必ずしも漢字だけで表すものではなく、ローマ字で表す場合も決して少なくないものである。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である『新田』をローマ字で表したもの、すなわち、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。」として商標法第3条第1項第4号に該当するとの判断を示しました。

【2】商標法第3条第2項について
「出願人は、動力伝導革用ベルトの製造に成功した後、ゴムベルト、ニカワ、ゼラチンなどに事業領域を拡大し、現在は、『創業125年の伝統を誇るベルト大手』と評される東京証券取引所市場第一部の上場企業である。...出願人は、『工業用品ゴム・樹脂ハンドブック』の2009年版及び2013年版に、ゴムベルトの生産会社として挙げられた10社のうちの1社として、また、樹脂コンベヤベルトの主要メーカーの1社として掲載されている。...当審における職権調査によれば、出願人は、工業又は化学分野において発行部数の多い「日刊工業新聞」や「化学工業日報」等の日刊業界新聞において、「大手ベルト3社」や「伝動ベルト3社」のうちの1社として、また、日本経済新聞、日経産業新聞、日本証券新聞等の日刊経済新聞において、「伝導用ベルトの大手」として、多数の記事に取り上げられている事実が見受けられる。...出願人の2011年度から2013年度の連結売上高は、毎年500億円以上であり、2011年度の連結売上高は、ゴム製品製造業において、第17位である(資料3、資料4、資料7)。...さらに、職権調査によれば、出願人以外の者が「NITTA」の文字を本願の指定商品について使用している事実は発見できなかった。 してみれば、本願商標は、その指定商品「動力伝導用ベルト、運搬用ベルト」について、出願人により使用をされた結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備している。」として、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるとしました。

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