不服2013 - 22500「いつでも、どこでも、何にでも」

請求人は、読点を含む文字を横書きした「いつでも、どこでも、何にでも」(以下、「本願商標」とする。)について第36類「前払式証票の発行」を指定役務とし(その後指定役務を第36類「食事券の発行」と補正)、平成24年12月29日に出願しましたが、本願商標は「『どんな時にも、場所を問わず、どのようなものにも』程の意味合いを容易に理解するにとどまるから、これを本願指定役務(『前払式証票の発行』)に使用しても、これに接した取引者及び需要者は、ごく自然に提供される役務の理想、方針等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズとして認識、理解するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない」として、商標法第3条第1項第6号で拒絶査定を受けました。
本願出願人はこれを不服として、本件拒絶査定不服審判を請求しました。
審決の内容は以下の通りです。

当審の判断「本願商標は、...『いつでも、どこでも、何にでも』の読点を含む文字を横書きしてなるところ、その構成中の『いつでも』、『どこでも』及び『何にでも』の文字は、それぞれ『どのような時でも』、『どのような所でも』及び『どのようなものにでも』程の意味合いを表す平易な日常語であるといえる。また、本願商標の指定役務は、...『食事券の発行』であるところ、『食事券』は『飲食店などで飲食代として使用できる金券のこと。』(実用日本語表現辞典(http://www.weblio.jp/content/)で検索した「お食事券」の項参照)を意味する語であるから、『食事券』は『前払式証票』(プリペード-カードや商品券のように、あらかじめ金銭を支払い、物品の給付等を受けることのできるカード・証票等で、乗車券・入場券等以外のもの。【大辞林第3版】)の一種と認められる。そして、前払式証票は、利用可能な金額、利用可能な場所(加盟店等)等の条件があるもので、このことは、前払式証票の一種である食事券にも当てはまるものである。してみれば、食事券は、あらかじめ金額を支払い、券面等に記載された条件の範囲内で、飲食物の提供を受けることが約束された証票(金券)であるから、『食事券の発行』の役務は、食事券の発行者が、取引者・需要者に対し、当該食事券に化体された上記条件や約束を履行・享受させる役務を提供することというべきである。そして、別掲2及び原審で摘示した別掲3の事実によれば、前払式証票を取り扱う業界においては、『いつでも』『どこでも』『何にでも』の文字を、当該前払式証票が、その加盟店、額面に記載の金額等の制限の範囲において、時・所・対象を問わず広く使用できる程の意味合いで、提供する役務の制限が少ない又は役務の範囲が広いこと、すなわち、役務の利便性や訴求点を、当該前払式証票の利用者に対して端的にイメージさせるための標語(キャッチフレーズ、スローガン)として使用している実情が認められる。以上に鑑みれば、本願商標の指定役務『食事券の発行』は、加盟店の範囲が飲食店に限定された『前払式証票の発行』にほかならないことから、本願商標『いつでも、どこでも、何にでも』を、その指定役務について使用すると、これに接した需要者(加盟の飲食店関係者及び一般消費者と認められる。)は、券面に記載の金額等の制限の範囲において『どんな時でも、どんな所でも、どのようなもの(飲食物)にでも』使用できる食事券を提供するといった、提供する役務の制限が少ない又は役務の範囲が広いこと、すなわち、役務の利便性や同業他社に対する自社の訴求点を端的にイメージさせるための標語(キャッチフレーズ、スローガン)として認識、理解するにとどまるというべきである。また、本願商標の態様は別掲1のとおりであり、その態様上顕著な特徴は認められない。そうすると、本願商標は、役務の出所識別標識としては機能しないというのが相当である。してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるといわざるを得ない。」として、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するので登録することができないとしました。

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