通行手形事件 東京地裁昭和62年8月28日判決

原告は、「木製で将棋の駒形に形成されており、その頂部付近に穴があけられてこれに鈴を結んだ吊り紐が結びつけられ、車内や室内の各所に吊り下げられるようにされたものであり、その一方の面の中央部には『通行手形』の文字が縦書きに大書され、かつ、その脇に『交通安全』等の文字が記載され、他方の面には名所、旧跡等にちなんだ文字、風景又は人物の絵などが描かれているもの」を販売しています。

被告は、「通行手形」の文字を縦書きにした商標の商標権者及び専用使用権者です。 被告は、原告の行為は商標権の侵害にあたるとして、販売の停止などを求めてきたので、原告は本件の差止請求権不存在確認訴訟を提起しました。

東京地裁は、「本件各物件に付された『通行手形』の文字は、本件各物件が歴史上実際に用いられた通行手形を模したものであることを表現し、説明するため、記述的に用いられているものであり、自他商品の識別機能を果たす態様で用いられているものではないことが明らかである。してみると、原告らが『通行手形』なる文字を付した本件各物件を製造販売したとしても、右『通行手形』の文字を商標として使用していることにはならず、本件商標権、又は本件専用使用権を侵害することにはならないと認められる。」として、原告の行為は商標権侵害にあたらないと判断しました。

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