ASCEND事件 知財高裁平成25年6月26日判決

原告は、欧文字「ASCEND」からなり、第10類「医療用機械器具、バルーン拡張カテーテル」を指定商品とする商標登録出願(以下「本願」という。また、本願に係る商標を「本願商標」という。)の出願人です。本願商標は、「ASCENT」を引用商標として4条1項11号に該当するとして拒絶査定となったので、原告は拒絶査定不服審判を請求しましたが、請求不成立審決を受けました。原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本願商標は、『ASCEND』の欧文字6からなり、『登る、上る、上昇する』等の意味を有する英語の動詞である。本願商標から、『アセンド』の称呼、及び『登る、上る、上昇する』との観念が生じる。他方、引用商標は、『ASCENT』の欧文字6字からなり、『ASCEND』の派生語であり、『登ること、上昇』等の意味を有する英語の名詞である。引用商標から、『アセント』の称呼、及び『登ること、上昇』との観念が生じる。本願商標『ASCEND』と引用商標『ASCENT』は、『ASCEN』の綴りを共通にし、語尾の『D』と『T』の文字において相違するにすぎないから、外観において類似する。本願商標からは、『登る、上る、上昇する』との観念が生じ、引用商標からは、『登ること、上昇』との観念が生じ、観念において類似する。本願商標からは『アセンド』の称呼が生じ、引用商標からは『アセント』の称呼が生じ、両者は、いずれも4音であり、語頭からの3音『アセン』において共通し、語尾の『ド』と『ト』の音において相違するにすぎないから、称呼において類似する。また、本願商標について、取引者、需要者において、引用商標との間で、その出所を区別することができると解されるような格別の取引の実情が存在したと認めるに足りる証拠はない。 そうすると、本願商標と引用商標とは、同一又は類似の商品に使用された場合には、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるといえる。本願商標の指定商品『医療用機械器具、バルーン拡張カテーテル』と引用商標の指定商品『医療用及び外科用機械器具』とは、いずれも『医療用機械器具』の範疇に属する商品であるから、同一又は類似の商品である。以上によれば、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。」として、原告の請求を棄却しました。

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