ファンタジーライフ事件 知財高裁平成24年7月12日判決

原告は、「ファンタジーライフ」の標準文字商標を出願しましたが、4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けたので拒絶査定不服審判を請求しました。しかしながら、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決を受けたので原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「引用商標は、『fantasy LIFE』の部分と『mabinogi/マビノギ』の部分とからなる結合商標と解されるところ、『mabinogi/マビノギ』の部分は、『fantasy LIFE』の部分よりも大きく(高さは約5倍、幅は約2倍)かつ特徴的な書体で表され、同部分からは特定の観念を生じないか、物語の題号の1つである『マビノギ』の観念を生じさせるから、造語ないし固有名詞として認識され、取引者、需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。また、同部分から『マビノギ』の称呼が生じることは明らかである。他方、『fantasy』の語は、『空想、夢想、ファンタジー』を意味する平易な英語であって、『ファンタジー』の語は、コンピュータゲームの分野においてゲームのジャンル(『空想上の人生・生活を体験することを内容としたゲーム』)を指すものとして使用されているから、引用商標の構成中『fantasy LIFE』の部分は、取引者、需要者にコンピュータゲームのジャンルを示すものと認識されることが多いものと認められ、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとは認められない。上記のとおり、引用商標の構成中、『fantasy LIFE』の部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることはできず、他方、『mabinogi/マビノギ』の部分から出所識別標識として固有の称呼を生じ、観念を生じ得るのであるから、引用商標の構成中『fantasy LIFE』の部分だけを抽出して本願商標と対比することは許されないというべきである。そして、本願商標と引用商標の構成部分全体を対比すると、両者は外観において著しく異なり、観念、称呼において一部共通するものの、取引の実情を考慮するならば、類似するとはいえない。したがって、本願商標と引用商標の類否について、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、具体的な取引状況に基づいて全体的に考察すると、本願商標と引用商標が、役務における出所の誤認混同を生じるおそれはなく、両商標は類似しないから、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断には誤りがある。」として審決を取消しました。

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