地域団体商標に対する先使用権(第32条の2)

 本条は、平成一七年の一部改正において、地域団体商標制度が新設されたことに伴い、地域団体商標に対するいわゆる先使用権について規定されたもので、他人の地域団体商標と同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務について不正競争の目的でなく使用している者は、その商標が周知となっていなくても、その商標を使用する権利(先使用権)を有する旨を規定しています。
 本条では、周知性を要件としていないところが、第32条と異なっています。
 同一の地域において同様の商品を生産・販売する者や役務を提供する者であれば、地域団体商標の出願前から同一又は類似の商標を使用している可能性がありますが、このような場合に、地域団体商標の出願人に該当する団体に加入していない他の事業者に対して周知性を獲得していないから、使用を認めないとすると、団体に加入していない他の事業者は当該商標を使用することができず、地域団体商標の権利者と第三者の利益の衡平を失してしまうと考えられますので、地域団体商標に対する先使用権については周知性を要件としていません。
 また、第32条の2第2項では、先使用権を認められた者に対する混同防止表示請求ができる旨が規定されていますので、地域団体商標の商標権者は、混同防止表示請求をすることができます。

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