商標法上の抗弁1-先使用権

商標権の侵害で警告を受けた場合にできることは、分かり易く言うと【1】「ごねる」、【2】「もらう」、【3】「つぶす」、【4】「あきらめる」、の4つがあります。【1】の「ごねる」というのが、抗弁にあたります。商標法上の抗弁は、先使用権(32条)、商標権の効力が及ばない範囲(26条)、準用する特許法104条の3の抗弁等があります。この記事では先使用権について説明させて頂きます。

先使用権は、登録商標の出願前から一定要件下で商標を使用していた場合に主張することができます。

その要件は以下の通りです。
1.当該登録商標の出願前から日本国内において不正競争の目的でなく、登録商標と同一又は類似の商標を指定商品等と同一又は類似の範囲で使用していること
2.出願の際現に、自己の業務に係る商品等を表示するものとして周知であること
3.継続して使用していること

以上の3つの要件を満たす必要があります。

先使用権が規定されているは、本来、このような商標は4条1項10号で拒絶されるべきものですが、過誤登録がされた場合に、無効審判を請求するまでもなく未登録周知商標の使用を認める為です。

また、4条1項10号については、善意に登録を受けた場合には除斥期間(47条)の適用があるので、先使用権は、除斥期間の経過後に特に実益があるものとされています。すなわち、除斥期間は、商標権設定登録の日から5年となっており、5年を超えた段階では無効審判請求はできないので、先使用権の抗弁を主張することで、自己の商標使用を正当化する必要があるのです。

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